「どうしたんですか?」

「各地でやべぇ事になってるみてぇだ」

その記事に書かれていたのは
謎の狂気殺人多発の記事だった。
浜辺で拾った黒いダイヤルに触れた少年が
狂ったように暴れだし、村民を無差別に殺害したという。
それに似た事件も多発していて
手のつけられない状態に陥っていた。

そして
見たこともない黒いダイヤルには気をつけろ。
という警告文。

「黒いダイヤル・・・んなもん見たことねぇからなぁ」

「・・・」

ルピタはそれを聞き、考えていた。
いきなり狂い出す人々。
黒いダイヤル。
そして、あの戦争の時
ルシファが言った
実験は失敗した。の一言。

「どうした?」

「・・・いえ。ちょっと」

昨日のルシファから発せられていたのは狂竜ウィルス。

あれをひとたび吸い込めば
人格が破壊されたかのように
狂い出す。
それは向こうの世界でも一緒で
ひとたびモンスターに感染すれば
そのモンスターから他のモンスターへ
感染が広がる。

それは人も同じ。

かつて向こうの世界でそれが蔓延した時。
ギルドはすぐさま研究を行ない血清を作り上げた。そして大規模な予防接種が行われた程だ。

ルピタはそんなことを思い出しながらも、ただ一点。その読めない記事を見つめていた。
その時だった。
見張り台で見張りをしていたクルーが大声で叫ぶ。


「海軍だ!!!」

それはモビーからは豆粒のように小さくしか見えない。
しかし徐々に近づくその帆には
確かに海軍のマーク。

眠っていたクルーも起き出し
その自体に戦闘態勢を整えた。

「エース隊長」

「ああ?なんだ!?お前も早く」

「あの船。ほんとに海軍さんのですか?」

「どー言う意味だよ?」

「まだ遠くてハッキリしませんが・・・人の気配がしない」

「何?」

徐々に近づくその船。
そしてエースはその船にけん引される船に目を見開いた。

「っあれ!!ルフィの・・・!!」

そこには弟ルフィが船長を務める麦わら海賊団の船。

「おいおいどーいうことだい?こりゃ」

「朝から嫌なお客様ですわ」

そこへやってきたのはマルコとチチカナ。

「にゃっ!眠いのに最悪にゃー」

「攻撃してくる気配もねぇな」

そしてサッチとリィリィ。

その船は静かにモビーへと近づき
ピタリと船体をつける。

「エース!!エーーース!」


そんな海軍の船から聞こえたのは
聞きなれたある人物の声だった。

「ルフィ!?」

「おいおい!なんでエースの弟の声が海軍の船から・・・」

ピタリとつけられた海軍の船の甲板からヒョコリと顔を出したのは
紛れもなくルフィだった。

「ル、ルフィ!!!?」

「おはようエース!!」

ニンマリと笑うルフィにエースは戸惑いを隠せない。
しかし次の瞬間そんなルフィの頭にゴチンと十手が落ちる。

「余計なことをするな。麦わら」

「スモやん!それやめてくれよ!いてぇし力が出なくなる!!」

涙目のルフィの隣に現れたのは海軍中将、スモーカー。

「スモーカー!!」

「ど、どういう事だよい!!」

スモーカーはふわりと煙を吐き出すと、ニヤリと笑った。

「なんて運がいいんだ。ここで白ひげ海賊団に出会えるたァな。」

「なんだと!?」

「手っ取り早く用件を済まそうか。炎剣のルピタはいるか!!!」

スモーカーの言葉に辺りがざわつく。

スモーカーはそんなざわつく甲板をくまなく見渡し、その姿を見つけると ため息混じりに
居るじゃねぇか。
と呟いた。

「グラララ。煙小僧がウチの娘に何の用だ?」

そこへ現れたのは白ひげ。
覇気を剥き出しにし、スモーカーを睨みつける。

「ここで戦争をする気はねぇ。見ての通り、この船には麦わらと、その一味1名。そして俺の部下が2、3人のみ。」

スモーカーの言葉通り。
その大きな船には似つかわしくない人口密度。
ガラリとしたその船を見て白ひげはピクリと眉を上げる。

「グラララ!それがウチの娘とどう関係があるってぇんだ!!」

「炎剣に話を聞きてぇ。“ある事“でな」

「そうかい。なら条件がある!聞きてぇ事があるならてめぇがこっちに来い!!エースの弟麦わらの坊主も連れてな!!」

白ひげがそう言って薙刀を向ければ、スモーカーはしばらく考えた後
ルフィと共に白ひげ海賊団の船へ降り立った。

「エーーース!」

「ルフィ!久しぶり・・・って言いてぇ所だけどよ。こりゃどういう事だよ!」

「それがさ」

ルフィはちらりとルピタに視線を送った。 その視線に気づいたルピタはニンマリ笑う。

「お久しぶりです!ルフィさん!」

「お、おぅ!久しぶり・・・えと」

「ルピタですよぅ!!」

「そうそう!そんな名前だったな!」

ルフィは悪ぃと呟きながら頭を掻く。


「さて。本題に入ろうか煙小僧。海軍中将ともあろう奴がこうして俺達海賊に話をしに来るってこたぁ、余程の事があったんだろう」

白ひげはそう言ってスモーカーを見据える。
そうすればスモーカーは
事の経緯を簡潔に説明していく。
黒いダイヤルから発せられた霧により
部下、そして麦わら海賊団の一部が
狂気に満ち異常な状態になってしまったと

「黒いダイヤル・・・」

「それって、今朝の新聞のやつですよね」

エースとルピタがコソコソと話していれば
スモーカーの眼光がルピタを捉えた。





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