『ルシファ』

『ルシファ』

村人が皆笑顔だった。

『ルシファちゃんこれ持ってお行き』

たまにとなり村の子供に赤い瞳の事で
いじめにあったりもした。
でもその人物は笑って

『ルシファはルシファでいいんだ。笑ってごらん』



大きな掌でその小さな頭を撫でた。

自分が拾われた子で
出が何処かもわからない
それでもこの人々は自分を家族だと呼んでくれた。


それは大きな満月の夜。
幼いルシファは自分が何者かを知った。
目の前に広がっていたのは
ぐちゃぐちゃになった
村人の死体と
家族だと思っていた
人達の死体と
真赤な景色。

それが赤い瞳にユラユラ揺れて

そこで初めて自分の中にいる
何者かが話しかけてきた。

『お前は俺だ』

『お前は俺を、俺はお前を、裏切らない』


ダッテオマエハオレダカラ。

真っ黒な化け物がそう言った。




「はっ!はぁっ、はぁっ・・・くそ」

ルシファは頭を抱えて起き上がる。
しんと静まり返る深夜。
ふと丸い窓から外を見れば
あの時のような満月が煌々と輝いていて
更に吐き気がした。

「お前は俺に何を見せてぇんだよ」

額を抑えながらルシファが呟けば
そのルシファの影から這うようにしてやってくる
黒い化け物。

『お前自身だ』

化け物は含み笑いでそう言った。

「意味がわからねぇ」

『お前は既にその意味を、理由を、真実を、知っているんだよ』

「うざ。」

『始まるぞ。兵隊は揃いつつある。お前は俺だ。俺はお前だ。だから共に地獄を見せてやろうではないか』

「フフっ、アハハっ!ホントお前はきもちわりぃ存在だよ。でも・・・・」

ルシファは一通り笑ったあと
闇に映えるその赤い瞳を
化け物に向ける。

「最高の、相棒だ。」


お前は俺だ。
俺はお前だ。
だからお前は俺を裏切らない。
だから俺はお前を裏切らない。



化け物は満足気にその牙を見せ笑うと
ルシファの影へと戻っていった。




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