そこは未開の地と呼ばれていた。
誰も踏み入れたことのない
自然が支配する世界。
どんな生態系が作られているかも、どんな植物が育っているのかもわからない。
名前通りの場所だった。

この世界にはモンスターと呼ばれる生物がいた。
種類は様々で未だ解明できていない個体も多々。
そんなモンスター達と人類は共存して生きていた。その調和を果たすのがハンターと呼ばれる者達だった。

『ふぅ。随分遠かったな』

『ハンターさん。気を付けてにゃ』

『ああ。ありがとう!運転手さん!』

この未開の地の調査もハンターの仕事だ。
調査結果を纏め、ハンターを束ねるギルドへ提出する。
簡単そうだが成功率は低く、ギルドからある程度認められたハンターのみが行える
ハンターにとって名誉ある任務だった。
この日未開の地に足を踏み入れたのは、先日やっとギルドから調査任務を任された
期待のルーキーだった。
彼の名はルーカス。真新しいリオレウス一式を身につけたその青年は
初めての名誉ある任務に心を踊らせていた。

『よぉし!いっぱい調査して、ギルドにもっと認めてもらうぞ!!』

若いルーカスにとって目の前の未開の地は輝いて見えた。
ギルドから預かった途中までの地図。その先の調査が今回の任務である。

ルーカスは意気揚々と足を踏み入れた。


『参ったな・・・』

しかしルーカスは調査2日目にして壁にぶち当たっていた。
途中までの地図のお陰でここまでこれたが
この先どう進んで良いかが分からない。
いわゆる迷子だ。

『くそ。食料はあと1日分しかないのに』

ギルドから支給された食料は3日分。つまりあと1日で調査報告を纏めなければならない。

『ここで立ち止まっても仕方ないか・・・。開けた場所まで出て煙玉で知らせよう』

ルーカスが思い立って一歩を踏み出したその時だった。

『うわ!!?』

ルーカスは気づかなかったのだ。生い茂ったツルの下は絶壁の崖。
足を踏み外したルーカスはそのまま気を失った。

『・・・う』

うっすらと瞳をあければ、ぼやけた視界に世界が広がった。
次第にはっきりしてきた視界に映ったのはどうやら遺跡のような場所だった。
崩れかけの柱が幾つも立ち並び、そこは神殿のような場所。
ルーカスは慌てて体を起こす。
しかし次の瞬間、激痛が襲った。

『っくそ!脚が折れてやがるのか?』

ギルドから支給された簡易時計はとっくに調査期間の3日を過ぎていて
ルーカスは眉を寄せる。
しかしふっと脚を見ると、明らかに手当ての跡があった。

『これ・・・』

ルーカスは辺りを見回す。
しかしそこに人の気配はない。



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