小説 | ナノ

初めて付き合った人はヤリモクだった。
会うたびにヤっては、飽きられて振られる。

次に付き合ったのはギャンブル狂。
内緒で貯めてたヘソクリを盗まれた事もあった。

そんでお次は酒乱野郎で
飲むと暴れ、家具を何度も壊されたし。

またまたお次はヒモ野郎。
働きもしねぇでゲームばっかやりやがって

次は最悪。ヤク中だった。
見た目紳士で優しかったのに。人は見かけによらない。


そして今。

「ふっざけんじゃねぇえ!!」

「いでぇええ!!」

彼氏。いや・・・
彼氏だったこのくそ野郎に
膝蹴りを食らわせたところ。
こいつ。私に多額の借金しときながら
その金で女子高生とエンコーしてやがった。
生活が苦しいとか言うから今まで貸してやってきたのに
その金でエンコーとか
ふざけんのもいい加減にしやがれ!

事が終わってホテルから出てきたところを押さえてやった。
奴は顔を真っ青にさせてたっけ。

私の名前は市川サキ。
25歳。
生まれてこのかた、いい男に巡りあったことのない
男運のない女だ。
自分では運命感じて付き合ってるのに
こう、なんていうのか。
うまくいかない。

私の人生プランでは
20で運命の人に出会い
2年ほど付き合って
22で結婚。
んで23で出産し

今ごろ
ママ友とおしゃれなカフェで
子育ての悩みとか
喜びとかを
おしゃれなティー片手に談笑してるはずだったのだ。

それがどうだ?
リアルな私は目の前のダメ男に膝蹴り食らわせて
仁王立ち。


ここに出川哲郎がいたら
間違いなく

これがリアルだからぁ。

と言うだろう。


周りの友達は
優しくてイケメンな彼氏とイチャイチャパラダイス。
それか優しい旦那様と子供に囲まれて
スマイルライフ。
この間行った中学の同窓会で打ちのめされたね。

長らく連絡を取っていなかった
中学時代の親友
ヨシコちゃんが
もう三人の子持ちという事実に
目眩がしたっけ。

他にも
マチちゃん。
ミホちゃん。
アイコちゃん。
Etc.

皆、セレブな彼氏や旦那様がいるというではないか。

見栄はって

私も今IT会社のシャチョサンとお付き合いしてるのぉ。

なんて嘘ついた同窓会の帰り道。
駅前のラーメン屋台で
やけ酒した
25の夜。
尾崎豊もドン引きな夜に違いない。


「自分は自分よね!!?そう思うでしょ!?おやっさぁん!!」

「あ、ああ。サキちゃん。そろそろ止めといたほうが・・・」

「・・・なに?おやっさんも私が悪いっていいたいの?」

「そ、そんなことないよ。明日も仕事でしょ?今日はもう帰ったほうがいいよ?」

いつも行きつけのラーメン屋台のおやっさぁん!!はそう言って苦笑いだ。
確かにこんな客。早めに帰したいだろう。
そんなおやっさぁん!!の裏の心情を読み取って
今夜は家で一人寂しく宅飲みすることにした。

ふらふらした足取りで駅前の繁華街を歩く。
なんでこう、私の人生はついてないことばっかなんだ?
男なんて星の数ほどいるよー!
なんて慰めはもう効かない。
何故ならその星の数ほどいる男のなかで
私はダメ男しか捕まえられないからだ。



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