小説 | ナノ

「ホントに君って奴は!」

「すいません」

「全く良い歳して社会人としての自覚はないのか!?」

「・・・すいません」


会社について
一番に部長に怒鳴られまくった。
私はこの会社でしがいないOLとして働いている。
大きくも、だからといって小さくもない
この会社。
給料はそこそこで
業務もそこそこ。

でも私は結構仕事の出来ないノロマ人間として見られているんだ。
んでこの部長は私の事が嫌いなのか
事あるごとにつっかかってくる。
仕事の事ならまだしも
この間寿退社した同期と私をなにかと比べたり
この前なんか弁当のおかずにまでダメ出しされた。
部長曰く、弁当は手作りが基本。
冷凍食品なんかもってのほか!
らしい。
うるせぇ。とにかく口くせぇんだよ。
なんて暴言吐けるはずもなく
私は遠くに聞こえる部長の声に
すみませんを連呼した。

さっきから部長が良い歳こいて、良い歳こいて。とうるさい。
そっか。私も良い歳なんだよね。
ああ。このまま私はいつまでも仕事出来ない人間で。
同期はどんどん寿退社していき
最終的には孤独な老人になっていくんだ。
今から良い老人ホーム探しとかなきゃ。

部長の説教が終わる頃。
私はネガティブ人生プランを立て終わっていた。


どんよりしながら自分のデスクに戻ると
同期で仲良しのミエが声をかけてくれた。

「大丈夫?サキー?」

「・・・うん。大丈夫。今から良い老人ホーム探すから」

「意味わかんない!ってか昨日どうだったの?」

「何がよ」

「ほらっ!彼氏!証拠集まったとか言ってたじゃん?」

「ああ。それね」

「話し合ったの?やっぱり、その、クロだったわけ?」

「クロもなにも・・・真っ黒だったよ」

そう言ってため息をつけば、ミエはあちゃーって顔してるし。

「なるほどね。それでやけ酒して寝坊したと・・・」

「まぁ。そんなとこ」

90%当たっているが、後の10%は
あの夢から覚めたくなかったんだなぁ。
でもそんなこと言えるはずもない。

「まぁさ!あれよ!男なんて星の数ほどいるんだから!」

ミエはそう言ってニンマリ笑う。
そのセリフは私が生きてきた中でナンバーワンに輝くほど聞いた、というか言われたセリフだ。
愛してるよ。君しかいない。
とか言うセリフがナンバーワンだったことなんて ないんだよ!!!!

何故か無性に一人カラオケに行きたくなった。




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