しばらくそれに酔えば、唇は首筋を這う。
先輩の大きな掌が、小さな私の胸を包んだ。

「・・・なまえ。」

熱っぽい声で、先輩が私の名前を呼んだから
私は先輩の唇に軽くキスをする。

それが合図だった。

私はその日先輩に抱かれた。
もちろんこれが私の初体験。


「それでさぁ!エースがね?」

「・・・うん」

あれから一年。
私は四年生に。
りぃは相変わらず卒業した先輩と付き合っていた。
でもきっとあの店のスタッフとも関係あるのだろう。
もしかしたら、もう違う人かもしれないけど。

私はあれからサークルに顔を出してはいない。
あの店にはもう行きたくないからだ。



私はポケットの中で震えるケータイを取り出した。

「なまえー誰から?」

「ん。地元の友達」

「ふーん」

メールを開けば先輩からだった。
内容はいつもの如く。

今夜会いたい。


りぃは知らないだろう。
見られていたことも

そして
先輩と私の関係を。




「ねぇ。先輩」

「ん?」

情事の後の熱気がまだ冷めないベットの中。
私はタバコを燻らせる先輩に視線を移した。
先輩は窓の外を見つめ、その紫煙がその窓の外へと逃げていく。
空はどこまでも快晴で、真っ暗な夜空に星がよく映えていた。

「あの時・・・」

「あの時?」

「あの時、どうして私を抱いたの?」

ジュッてタバコの火が消える音がした。
先輩は肺に残った煙を全て吐き出して、
ゆっくり私に視線を移す。

そしていつぞやの泣きそうな笑顔で
言ったんだ。


「"寂しかったから"・・・じゃないかな」



私達の関係はきっと綺麗な関係じゃない。
だけどそれでいいんだと思った。
先輩が良いなら、良いんだ。
そんな関係にも直ぐに馴染んだよ。

それが私の良いところでもあり、悪いところでもあるんだけどね。


でもね。先輩。

あの時、私があなたに抱かれたのは

あなたが好きだから。


それは今も


変わらない。




おわり。


あとがき
10000hit企画最終弾!!
現パロ切甘。
やっぱり甘いのかどうかが
不明。切ないというよりダークな感じになってしまった(汗)
すみません。
今まで連載ばかり書いてきたので
こうして短編を書けて良かったです(*^^*)
では、これからもきらきらをよろしくお願いいたします!








top



- ナノ -