女々しいと思われるかもしれねぇが、俺にとっちゃセックスってのはただの行為じゃねぇ。
確かにありゃあ狂喜じみた快感をたっぷり注いでくれっから、自分が男なのか女なのかとか好きだとか嫌いだとか今がいつなのかここがどこなのかとかってことがどうでもよくなっちまう。けどそんなの、セックスじゃねぇ。本物のセックスっていうのは、そう、とにかく相手を誰にも渡したくなくて、少しでも寄り添いたくて、体の全部が相手と触れ合っていてぇと思う。抱きしめるときの僅かな隙間が、とんでもなく寂しい。
だから、いっそひとつになりてぇなんて、幼稚な願いをこめて抱きしめるのさ。
「…次元」
「なんだよ」
「くるしいんだけど」
「黙って抱きまくらんなってろ」
「…はぁ…」
好きな相手とは肌の感触まで相性がいいってもんよ。
END