彦星は待ちぼうけ





あぁもう、気に入らない。



「悪いルパン、遅れちまって…」
「…別に。」
「っ」

(…めちゃくちゃ怒ってる)
「いいよ、大した用じゃないし。」
「な、なにすねてんだよ」
(は?)
「拗ねるって何、俺は約束通りの時間にきて、遅刻した人を待ってただけなんだけど?」
「その言い方が拗ねてるっていってんだろっ」
「なにそれ、俺が悪いってか?」
「んなこと言ってねぇけど、仕方ねぇだろ、急に用が出来ちまったんだからっ」
「用?俺はもう2週間も前からこの日の何時に来いって指定してあったでしょ、それをお前はさぁ…!」
「わ、悪かったって、五右ェ門がどうしても今日じゃねぇと駄目だっていうから…」
「っ…なに、俺よりあいつとったわけだ」
「違ぇって、どっち取るとかじゃなくて」
(ふざけんな)
「は、馬鹿みてぇ、俺は他の男と楽しくやってるヤツをずっと待ってたってわけだ」
「違う、ただ、お前の用はその、少しくらい遅れても大丈夫かな、と」
「日付変わるまで待ったのよ?俺、…ほんとに時間の無駄だった」
「なんでそんなこと言うんだよ…っ」
「俺がお前に会いたかったのは昨日なの。今日じゃなくて。」
「だから、悪かったって、埋め合わせはするから…っ」
「いいって、別に。」
「ルパン、悪かった、だから、」
「お前さ、…」
「なん、だよ」

「それ、なに」
「え、あぁ、五右ェ門のヤツがくれたんだよ。昨日は…たなばた?とかって」

(ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんな)
「おっ前さぁ…!俺以外の男からプレゼントとかもらってんじゃねぇよ!」
「はぁ?男って、五右ェ門だぞ?ただのまんじゅうだぞ、これ」
(それでも、俺が、)

「俺が一緒に七夕過ごしたかったんだよ!!!!」

「…は?」
「あっ」
「…七夕、って、昨日…」
「…も、ヤだ…」
(かっこわりぃ…)

「ルパン、昨日って」
「っ…寝室」
「は?」
「寝室の扉あけてみろ」
「……」
「はやく!」
「は、はいっ」

がちゃり。
黒くまるい機械から、光が差し込み白い天井は宇宙に変わっていた。

「…すげぇ…星…?」

「家の中でも夜空がみれるってやつ。」
「すげぇ、綺麗…」
「俺が、お前と過ごしたかったのに…五右ェ門の野郎…っ」
「…準備、してたのか…」
「…悪いか。」
「悪かねーよ」
「七夕っつーのは、…恋人同士が久しぶりに会う日なんだよ」
「そうだな」
(ちょっと違うけど)

「それをお前は…」
「ルパン、…悪かった、俺…」
「いい、もうしらねぇ」

「ルパンっ…」
次元はすたすた駆け寄り、ルパンの隣に腰かける。
「寄るな、暑い」

「ルパン」
「あのね…」
「星ん中でしたら、…最高だと思わねぇ?」
「へっ…?」
「俺が悪かった、から…俺のこと、お前の好きにしていい、よ」

「じ」
「あ、やっぱ怒ってるもんな、そんな気分じゃねえよな、やっぱりやめ」
「する!」
「…だってお前怒ってるし」
「怒ってない怒ってない」
「ほんとに?」
「うんうんうん」
「じゃあ…キスして。彦星さま」


「任せなさい、織り姫」




ちゅっ




(いやいや織り姫ってツラか?俺)
(気分よ気分)








END






嫉妬するルパンってなんてかわいいのかしら

20120708



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