君を好きになってよかった。



あれから一体どれほどの月日がながれただろう。


「あ、次元」
「ん?なんだよ」
「今日、時間ある?一緒に呑まない?」
「あー悪ぃ、先約ありだ」
「そう…」
「おう」
「なぁんかここんとこつれないよねぇ次元ちゃんてば」
「仕方ねぇだろ、予定があるんだから」
「いっつもそうじゃない、どんだけ予定溜め込んでんだよ!」
「お前のタイミングが悪ぃんだろ、とにかく今日は無理だっ」
「何を騒いでおるのだ」
「あら五右ェ門ちゃん」
「五右ェ門…」
「どうかしたのか?」
「いや、どうもしねぇよ」
「ちょっとなになに、見つめあったりなんかしちゃってさぁ…俺様お邪魔虫ぃ?」
「うむ」
「そうだよ」
「時々残酷だよねお前ら…なんだよなんだよ!次元たら昔は俺にめろめろだったくせにぃ!」
「ばっ…お前な、昔の話なんか…」
「無様な…次元は今拙者の恋人だ。八つ当たりは御免被る」
「…そうだぞ、なんだいお前さんだってあの頃は不二子の奴に振り回されてボロボロだったじゃねぇか」
「ぎくっ」
「そりゃあ俺もお前のことを好きだったわけだが、そういうことは無しにしようととうの昔に決めたろ。」
「だってなぁ…」
「…あの頃のお主らときたら、目もあてられぬ状況だったぞ」
「「ぎくっ」」
「ルパンは毎晩飲み歩き、不二子に振られてはアジトの寝室で次元を襲い、」
「…………」
「次元はそれを拒まず弱音を飲み込んで、されるがままにするばかり。」
「…………」
「夜になる度出掛けねばならぬ拙者の苦しみも少しは考慮してほしかったでござる」
「「ごめんなさい…」」
「次元ちゃんもごめんね、あの頃はまだガキだったというか、こう、ねぇ…」
「あぁいや、俺もなんかその関係に浸ってたっつーか、片思いにのめり込んでたからな、なんか、悪ぃ」
「いやいや俺が圧倒的に悪いよ、ごめん」
「謝るなよ、過ぎた話だし…俺も拒絶しなかったんだから」
「まぁ傷ついた次元をなんとか慰め強張った心を溶かしたのが拙者というわけだが。」
「あらあら辛気臭い顔しちゃって、昔の話なんて止めてよ。」
「不二子!」
「ねぇルパン、今夜なんか用事ある…?」
「ないないないない!俺の夜はいつでも不二子のために空けてあるのよ」
「あら素敵」

「…五右ェ門、行くか」
「御意」







俺は今、恋をしている。
人生最後の恋ってヤツを。







「次元」
「ん?」
「…その、もうルパンのことは…」
「まったその話か、お前、何回俺に同じ質問しやがるんだよ」
「む、…すまん」
「俺が好きなのはお前だけだよ。…いい加減自信持ちな」
「…承知した」
「…くくっ」
「わ、笑うな次元っ」
「いや、悪ぃ、…あんまり嬉しそうだから、ついな」
「致し方なかろう、自然と頬が緩むのだっ!」
「なぁ五右ェ門」
「…なんだ」

「お前を好きになってよかったよ」

「じ、…次元…っ」
「ばっ…なんだその手は!しねぇぞ!絶対しねぇからな…っ!」
「お主が悪いのではないか、そのようなことを申すから…っ」
「次しようとしたら二度としねぇからな、デート。」
「殺生な…」
「当然だっ!」






君を好きになってよかった。
(ふたりじゃないと手にはいらない幸せがある)









END











本編があまりにも暗かったので…(笑)
ルパン一味なら、ドロドロした関係もあっさり乗り越えると思います。
五次とル不に収まればみんな幸せ!



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