たとえば僕が、この世界を壊すなら。


 



こんな場所でなにをしているんだ、と思う。
数分前、休憩という名目で訓練場の奥の木陰で目を閉じた自分がにくかった。

「えーと、笑ったほうがいい?」
「いらん。帰れ。」

ぴしゃりと言い切らせていただく。
ったく体が重い、軍服なんてもん、一週間着続けたってなれやしねぇ。

「なにを怒ってるの?説明してくれる?」

お前と会話をするのが嫌なんだよ!
…とは、いうわけにいかない。
「帰れ」
「そういうわけにはいかないなぁ〜、ほら俺、狙った獲物は必ず奪う!がキャッチコピーだから!」
「じゃあお前が出したとかいう予告状は俺が破棄しておく。なかったことにしちまえばいいだろう。」
「…本題に戻そうか」
「いらん、帰れ。俺は訓練に戻る」
「お前も何種類もほふく前進覚えたりすんの?想像つかないなあ」

イヤミっぽく笑ってみせる。そうすれば俺がつっかかるだろうとでも思ってるんだろうか。

「帰れ」

悪いが俺は、これしか発しないことにしている。

ざしゅ、と砂埃を巻き上げて立ち上がった。
「次元っ!」
声を跳ね上げた男は、恐ろしく強く俺の腕を掴んだ。ぎちりと指が埋め込まれるのがわかった。
「…傷なら治った。痛くも痒くもくすぐったくもねぇ。」
俺はぐっと息を呑んだ。
「お前が悪いんじゃない。よくあることだ。そうだろ?」
「…なんの話だ」
唇が震える。ったく、ほんとに、すぐに確信をつく。
そうだ、あぁそうだよ。
俺はお前の傷に固執しているんだ。
「軍人なんて、お前にゃ向いていないよ」
お前に出会わなきゃ、俺はずっと軍人やってたよ
「なぁ次元ちゃん、」
そうだ、お前に出会わなきゃ
お前なんか、に


「次元」
「うるせぇ!はやく帰れっていっ…」

急に回された腕により背が弓なりにしなり、一気に俺の体が男に引き寄せられる。

「俺はお前がいなきゃだめなんだって、なんでわからないの」


(やめてくれ)

「ルパン…っ」
一週間ぶりに間近で見る死ぬほど愛した男の顔をはっきりと写した瞳がじんわりとつめたい液体に包まれる。ああもうなんだ、これは。
「いいね?するよ…キス」

「だ、めだ」

いいからはやくしてくれ。一刻もはやく、お前が欲しい。






「は、いいね軍服。燃える」
「っな」
吐き捨てるように笑ったルパンが俺にくちづけた。その感覚が一気につま先まで駆け抜けていく。んんぅ、とまゆを寄せつつ喉をならすと、ルパンはより強く俺を抱きしめ、絡め取った舌をこれでもかと吸い上げ、甘い電撃が背筋を駆け上がっていった。密着した部分から、ルパンの熱はどんどん広がって、ゆっくりゆっくり俺を飲み込んでいく。頭の中はぐつぐつ煮えたぎって、俺の理性をドロドロに溶かす。一瞬口を離すと、興奮しているらしいルパンの黒くて深い目がぎらりと光って、熱い吐息が鼻先をかすめて
(おーおーなんつー顔してんだ)
くらっと視界が揺れた。俺だって抱きしめたい。んだ、けど。とんでもめんどくさい俺の脳みそがやめろと言い出したからやめておく。
「っるぱ、んっ…」
名前を呼ぶたび、体がずしりと重くなってしまう。指先がぴくぴくと跳ねるのがわかった。ルパンは俺の腰の辺りからゆっくりゆっくり体をなぞるようにして手を下へとむかわせ…って
「ちょっ…待て馬鹿っ!」
「はい?」
「お前が俺を迎えに来たのはわかった、お前と帰る帰らないはおいといて、キスくらいなら挨拶だって言い訳してここまでは許してやる、」
「そいつぁどーも?」
「っだがな、こっからは駄目だ、辺りを見回せこの猿!」
「ウキ?」
「っ…外だぞ…!」「アウトドア派なの俺」「そうかい俺ぁ圧倒的インドア派だよ!」
「外に飛び出す勇気も必要よ次元ちゃん。」
「いらねぇ!」

(わかってる、馬鹿は俺だ)

なんでキスなんか許した
もうあきらめるんじゃなかったのか!
右手の甲で口元を拭う。先刻の失態を帳消しにするためだ。…叶うはずもないが。

「…なんで出てったの?」

「…お前と一生仕事するなんて契約した覚えはねぇ」
「そーだねぇ、俺様縛られるのが嫌ぇだから。自分が嫌なことを他人にしちまうつもりもさらさらねぇしな。」
(そう、完璧なまでの自由主義。放任主義。こいつは自由を具現化したような男だ。)
「べっつに?連絡つかなくなっちまうなんてよくあることだし?たまに敵同士になっちまったりすんのも、おもしろけりゃあいいのよ。」
「……」
「けどね。あん時のお前ってばすっげぇひどい顔してたから気になっちまったんだ。」

お前はやさしいよ

「…俺は足でまといになる」
「世界一のガンマン以外に、俺のサポートなんて誰ができるっての」
「ほかに、使えるやつはいくらでもいるさ。」

そう、俺は太陽に近づきすぎたんだ。
がらにもねぇようなことをたくさんして、たくさん笑って。
もう充分楽しんださ。一生分の幸せだった。これ以上望んじゃいけなかったんだ。お前の隣にいれるだけで満足だったはずなのに。いったいいつから、壊れちまったんだろうって、今更、後悔すらできねぇなんて。

俺にはこの服が似合ってる。お前と一緒じゃあ、お前さんお得意のハリウッド顔負けの特殊メイクやら変装やらに付き合わされる。俺にゃ軍服ってのがちょうどいいんだ。これを着てりゃあ、ほかのことをかんがえる気にもならねんだ。いつだって頭ん中は戦いのこと。人をどうやって効率的に殺すか。自分をどうやって生き残らせるか。東の方にある島国の平和ぼけした一般人にゃ思いもよらねえだろうが、俺にはそっちの方が安心するんだ。世界一自由な男についていけるほど器用でもなけりゃ、特別でもねぇ。
「俺はお前がいいの。お前じゃなきゃ嫌なの。…何度言ってもきかねえんだから。そんなに信用ないわけ?俺様。」
「…ねぇよ」
「あらひどい」
「俺は軍人とか、殺し屋とか、そんなんの方が向いてるんだよ」
「馬鹿言え、組織なんてもんがいっちばんきれぇだろうがお前さんはよ」
「お前になにがわかる…!俺はっ」

「わっかんねぇよお前のことなんか」

「なっ…」
「俺にわかるのは俺のことだけ。
…俺がお前を好きでたまんねぇってことだけ。」

「っ」
数瞬後、頬が発火したように熱くなるのがわかった、おそらくは俺の顔が赤い。
「―あ、ほじゃねえのか、おま」
(すき、とか、さらっというなよ、日本男児がっ!って、こいつは日本じゃないのか?フランス?あれ?でも髪黒いし日本語話すし仲間は日本人ばっかじゃ…って今そんなことどうでもいいじゃねえかくだらんそんな言葉え丸め込まれるわけが)
ばくばくばくばく。拍動する心臓が内部から俺の体を叩きつける。いってぇよばか。あれ?俺ってこんなに乙女な正確してたっけか。いやいやそんなはずはねぇ。あいつのキャッチコピーが狙った獲物は必ず奪う、なら俺のは早撃ち0.3秒のクールなガンマン、はずだ。なんだこの動悸息切れは、クールの真逆じゃねえか。
「ひどいねー全く。そんなこといいつつ耳までお顔が真っ赤ですけど次元さん?」

俺はなんでこいつから離れなくちゃと思ったんだっけ。そうだ、俺が足を引っ張ったせいでこいつが敵に撃たれたんだ。大したことのない相手だったのに、こいつは何度も大丈夫だと俺に言い聞かせ背中をなでたけれど、あのときはそんな言葉、俺に届きはしなかったのに。こんな単純な言葉で誤魔化されてしまうなんて。

「次元」
「な、んだよ」
「…おいで」

ゆっくりと伸ばされた右腕。この手をもう二度と掴んでやるものかとおもったのが数十回。好きだというお前の言葉を信用しないと誓ったのが数百回。なんでこんなやつと組んでしまったんだと後悔したのが数千回。お前に出会わなければ良かったと思ったのが、ゼロ回。
「…加減しろ」
「約束はできないね」

なんて、憎らしく笑う。この男が道を照らしてくれなければ、俺は自分のゆく宛すらわからないんだ。


「ん、っ…」
かぷりと俺の耳を唇で挟んで、くにくにと軟骨を刺激する。ぞくぞくと背筋を寒気みたいな物が優しく撫でて、ルパンの喉の奥の奥から漏れ出した吐息は鼓膜を微かに揺らしてから俺の中に入って全身を熱くした。俺は無意識に目を細くしていて、目尻にじんわりと熱が集まるのを感じた。
「くすっ…」
「ッ」
かぁ〜っと顎から額までゆっくり朱に染められる。
ルパンがキスをしながら、俺のベルトを外しにかかる。が、どうやらうまくいかないらしい。そりゃそうだ。このでかくてゴツイバックルにゃ、七日間俺も苦労されられてきた。心中で軽く舌をうち、自分で脱ぐと告げると、あいつは目を丸くしてから口元をこれでもかと持ち上げた。一体全体なにが嬉しいんだか。
がちん、と金属音がなる。あまり大きな音はたてられねえってのに、焦りか緊張かなんなのか、指先の感覚が弱い。ああくそ、なんだってんだ。そうこうしているあいだも、ルパンはくちづけをやめてはくれなかった。顔を傾けながら深い深いキス。俺が漏らした吐息を飲み込むようにまたキス。その度ぞくぞくと心臓が震えるのがわかった。酸素を求めて口を離しても、またふさがれて舌をルパンの口の中に引きずり込まれる。ちゅぅ…っとキツく吸われるのもくちゅり、と歯を立てられるのも俺の背を大きくしならせた。
ベルトの前を外すと、ルパンが俺の下衣に手を入れてきた。びくりと肩がはねるが、俺が抵抗したところで逃がすようなこいつじゃねえからあきらめる。すぐさま目的地にたそり付けたその手は長い長い指を丁寧に絡め、強弱をつけて上下する。
「ん、は、ぁっ…」
くちゅ、と淫靡な音を立てる液体を絡めつけるような行為に脳が沸騰しそうだ。ふふ、と嫌味な笑いをしてから、親指をぐりっ、と先端に突き立てられ、電流が走る。
「いっ…っく、おま、えなっ…」
「痛いほうが好きなくせに」
んなわけあるか、んなわけ、そんな、わけが。

ばさり、とルパンが赤いジャケットを脱ぎ捨てた。漆黒のシャツが現れ、俺が見ているのをはっきりと意識し、てらてらと光る舌で唇を撫でた。既に額を濡らしている汗がこいつの余裕のなさを代弁し、なぜか安堵する。
「…なに笑ってんの」
「別に?必死だなぁと思ってよ?」
「必死ですよそりゃあ10日もご無沙汰だとね」
「くっくっくそうかい」
期限よく喉を鳴らしていると、ルパンの手のひらに見覚えのある物体が。
「じゃあ、ならそっか」
「…なんだそれ」
「?ローションだけど」
「なんだその『当然でしょ』みたいなヽ顔は。」
「だって当然でしょ」
「お前俺を連れ戻しに来たんだよな?」
「うん」
「日本のアジトからきたんだろ?」
「うん」
「荷物はそれだけか?」「だってお前ローションがあんま残ってなくて少ない量しか使わなかったとき、痛い痛いって泣いてたじゃん」
「泣いてねえよ!!!」
「静かに!聞こえるよ?」
「…っ」

顔を右に傾けて深く甘く強く緩く熱く濃く、食らい付くようにキスをする大泥棒に合わせるように少し頭を傾けた。理由のわからない涙が、目尻にとどまるのをあきらめて滑り落ちた。熱帯びた頬に触れた少しだけ冷たい感触。
(なんで、泣いてんだ…)
ルパンの舌は、トロトロ俺の口に溢れた透明な液体をかき集めて自分に取り込む。すでにこぼれたものはあきらめたようだった。コクッ、と喉を鳴らす音がして、とどめだと言わんばかりに舌に痛いくらい吸い付かれた。長い長い口づけは終わりを迎えて、ルパンは大きな手で俺の太ももを撫でた。

彼は
すり、と腰を撫でて、その手はくすぐるように
下りて行った。ぞく、と心臓の温度が下がる感覚。トロリとした液体に濡らされた中指。
「ん…っ」
ぐしゃりと両手で赤いジャケットを握った。それでも。つぷ…、と第一間接まで滑るように、彼の中指が中へ割り入ってきた。
「んく…っ」
指がゆっくりと俺の奥へ中へ進む。
(指、なが…っ)
もちろん悪い意味で。ぐり…っと回る。擦れて、甘い痺れが体を駆け巡った。ク、と第二間接を曲げる。体が揺れて、手の力が抜けた。じゅぷ、と恥ずかしげもなく音をたてて、自分の体を 中を 掻き乱される感覚に、聴覚から鼓膜まで犯されていく。ずぶずぶと波を立てるように指をくねらせながら、割り入っていく。長い人差し指の先が、クリッとそこにあたたった。それだけでぞくんっと激しく背中が粟立って、背中が浮いた。執拗にそこを刺激されて、体が跳ねた。くらくらする。もうここがどこなのかも忘れた。
俺が知ってるのは、
ふたつ、だけ。

耳元に彼の吐息がかかる。熱い。熱くて溶けてしまいそうで。そんな声で、呼ぶなよ。涙と汗でぐちゃぐちゃになった目で、上目遣いで睨んでやる。ツー…と頬を伝って、雫が口の中に入った。しょっぱくて、まずい。
「……ッ」
ルパンは、いつもする余裕こいたような笑顔じゃなくて、歯を食いしばって、口元を吊り上げて
ぎらりと怪しく、瞳を光らせた。ずるり、と指が引き抜かれる。
「っん…ぁ…っ!」
そんな僅かな刺激にすら恥ずかしいほど反応して。
「はぁ…っはぁ…」
(くそ…っなんだ、これ)
くるりと、あまりにも優しく体を反転させられた。
「壁に手ぇついて。」
「っ…ん、」

入れるよ、という囁きにがくがくと首を縦にふる。はやくしろっての。
「じげ…ん…っ」
「……っ」
ぱく、と口を開けると、呼吸がぴたりと止まった。
(うわ、っ)
肺を直接握られてるような圧迫感はだんだん強くなっていく。
「ぁ…はっ」
俺の意思とは無関係に、体はゆっくりゆっくりルパンを受け入れていって、がくがくと体中が震えて、歯がガチガチ音を立ててぶつかった。
「っく、ん…っ」
もどかしくなって歯を噛み締めると、体に力が篭って一層ルパンに与えられる快感が大きくなる。
(だめだ…っ)
「ぁ…ぅく、っ、ぁ」
「次元…っ」
はぁっと甘くため息をつくのと一緒に名前を呼ばれて、ぶるりと体が震えた。
「…るっぁ…ぅ…ぱ、ッんぁ…」
言葉が言葉にならなくて、ビクッと体が揺れると目尻から透明な液体が落ちた。
「……好き」
乱れた熱い息の中で、確かめるように 嬉しそうに 耳元で囁かれた。
「好きだよ、次元…」
するり…と指と指の間にルパンの長い指が入り込んできだ。ゆらゆら目を揺らしながら、ぼろぼろに泣きながらみつめる俺の手の甲に、ちゅ、とキスを落とした。
「愛してる」
「っな、…うぁ」
ルパンが、俺の奥に入って来る。
「ぁ…っ!」
「……好きだ」
「ん…っ」
「好きだ…次元が…お前が好きなんだ…」「ッ…!」
なんでだよ。拒むことしか考えてなかったのに、

「――…もう、誰にもやらない……」
「っ…はぁ…ッ」
体が勝手にコイツを受け入れようとするなんて。
触れ合う部分が、
熱くて、火傷してしまうんじゃないかって。少し怖い。
「っ…る、ぱ…ん…ッ」
チカチカ、光る。
「っ…えっろい声…ッ」
「ぁ!…待っ、ぅあッ!…も、はい…らなっ…」
ぐいぐいと壁に押し付けるように俺の中を犯す。敏感な粘膜を擦られる感覚がたまらない。
(息、出来ねぇ…っ)
ルパン、の
ルパンの、が
ちゅっと俺の髪にキスを落としたルパンは、
「……夢…見てるみてぇだね、軍服姿のお前とセックスなんてさ」
囁くように呟く。
「っ、こんな…夢、見てたまる…かっ」
羞恥に震える体。
「オレはしょっちゅう見るけど…」
「っは!?」
「…夢の中の何倍も…今のお前は可愛いよ…」
「な、…ぁ、ぅご…っくな、馬鹿、ルパンっぁ、ア…ッ」
彼は腰を引いて、また、深く俺を突く。ずぐっずく、なんて恥ずかしい音が俺をおかしくする。ルパンは俺を抱きしめる。
「ほら、次元ちゃんてば、声我慢しないと聞かれちゃうよ?」
「っだれ、の、せいっ…だと…っあ、っ…!」

汗でベタベタする体がぶつかる音が響いていた。ルパンは、腰を引いて戻す。それを何度も繰り返していた。
「――うぁっ!?」
ある一点を突かれただけで、ゾクッと一際大きな電気が走って、俺の背中が勝手に浮く。
「ッ、ぁうっ!まっ…ぁっ、あ…!」
情けなくなるくらい
泣きたくなるくらい
恥ずかしい声が出る。
「っぁ!やめっ…そこばっか、っぁ…んんっ…!」
「ッ次元…!」
「っあ…!は、ッ」
糖分多めの電撃が、爪先から頭のてっぺんまで。
一気に俺の体を貫いた。 
「っ、んぁっ…ぁ、あっ…!!」
目をつぶって、真っ暗になった視界には、白い花火がチカチカ打ち上がっていた。


「ふぁ…っ」
びくびくと絶頂のあとの余韻に体が震える。はぁはぁと浅い息を繰り返しなんとか体をもとに戻そうとする、が。

「っあ…!?」


ルパンの野郎が一度で許すはずもなく。
「さぁて、今日は何ラウンドまでいきましょーかね?」
「お前っ…手加減っ…」
「約束はしてない。でしょ?」

やっぱりこいつのとこに帰るってのは訂正させていただきてぇもんだな…!




俺が知ってることは
ふたつだけ。
お前がひとりでもお宝を手にすることができること。
そして、
俺はお前がいなきゃなんにもできねぇってこと。






「…やぁ泥棒くん。さすが、この部屋まで来れてしまうなんて、…訓練の見直しが必要かな」
「…一応、挨拶だけはしとこうかと思ったので。うちの相棒がお世話になりましたね、長官殿」
「ハハハ、やめてくれよ」
「あんたが次元の恩人か」
「幼いときに面倒をみたってだけだよ。彼への影響力でいえば、君に勝るものはないだろう」
「…次元はいただいてきます」
「…嫌だ、といったら?」
「言わないでしょう、あんたなら。」
「ふふ、どうだかね?」

部屋の扉が勢いよく開く。
「侵入者です!こちらには…いませんね」
「侵入者なんて、失礼なことをいわないで。彼は取り返しにきただけだ」
「は…?」
「ちょっと名残惜しいが…まぁ、いいか。彼なら大丈夫でしょう」
「あの…」
「静かにしてくれ。こんな夜中に!部屋へ戻りなさい」
「ア、アイアイサー!」









世界が真っ二つになればいい。
片方に俺とお前がのっかって、もう一方にほかのやつらを詰め込んでやるんだ。自由で強欲なお前を愛す、たったひとりの俺になりたい。

ころすしか価値のない俺を、お前が必要だというなら
俺も自由を求めて
世界を翔ける







たとえば僕が、この世界を壊すなら。
(君と僕しかいない天国に)








 

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