触れられたいと願うなら


 



好きだ、と思った。
大きく翻る真紅のジャケットを見たその瞬間に。

「ん、っは、ぁっ…」

女嫌いであることは自覚していたが、まさか俺が男に恋愛感情を持つ日が来るなんて、予想だにしていなかった。あの日からずっと、まるで発情期の犬みてぇに欲に任せて生きている。あいつにふれられることばかり考えて。
「ふ、っ、ん、く…!」
噛みついているタオルに俺の唾液が溶け込むのがわかった。声を殺して、誰にも気づかれないように。…まぁルパンの野郎は出かけていて、明日の夜までは帰らねェと言っていたから、聞かれる心配はないはずだけど。しゅっ、っと素早く擦りあげると、腰がどろどろになりそうなくらいに甘ったるい電流がゆるりと走る。
「っあぁ…」
あいつに触られたら。どんなふうに感じるのだろう。どんなふうにあいつは、女を抱いてきたのかなんて。もう幾度となく繰り返した想像を脳内再生して、その誘惑にまた手を動かす。先走りでぐちゃぐちゃになったそれが電気を落として暗くなった室内にわずかに差し込む窓の光を反射する。はしたなくて、きっと、見られたら一瞬で嫌われちまうような。
「ん、んっ」
ぞくう、背中を冷気がかけたみたいな感覚。あいつに嫌われて、とことんとことん嫌われて。そしたらもう、笑いかけてくれるどころか、二度と会うこともなくなっちまう。そんなの嫌に決まってらぁ。けど、心底惚れた相手と毎日顔を合わせてるってのに、考えんなってのが無理な話だ。あのほっせぇなげぇ指先が、俺の体をなぞるとしたら、
「わ、やべ…っあ、あ…っ!」
背中が勝手に思い切りしなって、いつもより高い声があがる。ほんとに、我ながら女みてぇだ。まるっきり女ってわけじゃねえ証拠に、白い液体がとっさに掴んだ俺の指と指の間をうまーくぬって溢れ出す。
「あっ…ぁっ、あ…!」
ぱたたた、こぼれ落ちた液体が床を濡らした。
「っは…はぁっ…はー…」
ゆっくりと息を整える。
(あーやばいな)

「好きだルパン…」

ま、言えねぇんだけど。




触れられたいと願うなら
(君に愛される勇気が要るのさ)






「ありゃ、ここで電池切れ?まぁあのカメラ古かったしなぁ…これでよしってことにしときましょーかね」
(しっかしまぁ、さっさと告白してくりゃいいのに。)
「いっくらでも抱いてあげるよ俺様。」









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盗撮ルパン。

おなにぃのひでした!



120721

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