ふたりぼっち。


 



定時を過ぎると、足元がふわふわするような錯覚に襲われる。どんなに鋭く睨んでもリズムを崩さない針と恒例のにらめっこ。本日も引き分け。
今朝バタンを聞いてから待ち続けていたガチャリがようやく鼓膜を揺らした。

「おかえり、」
「うん」

この四文字が言えるのは世界で自分だけなのだと噛み締める。素っ気なく返されても目を合わせてくれなくてもいい。
「…ルパン、飯」
「やだ、もう駄目お前不足で死んじゃう」
靴を脱ぐのとほぼ同時に次元を抱き寄せ、無理矢理に口づけた。
「ん…っ」
「っは、次元…っ」
「っんく、んっ…んん」
彼の体を壁に押し付けるようにして、呼吸する時間すらもったいないとでも言うように必死に体を寄せ合う。股下に捩込んだ膝で敏感なそこをぐりぐりと刺激すると次元は半音高い声を上げながら肩を震わせ、それに味をしめたルパンは次元の首元に噛み付いた。
「っぁ、も、やめ…っ」
「冗談でしょ?…抱かせてよ」
ぐっと低い理性をどろどろに溶かしてしまうような恋人の声に脳が茹だつのを感じながら、次元は彼の背にしがみつく。
「っなら、ちゃんと、…脱がせよ…っ」

「…ほんと、俺を煽るのが上手いね…」

そこから先はろくな会話などなかった。




「っ、ん、はぁっ…っく…ん…」
弾ける水音が壁伝いに耳に届き、桃色のムードをさらに色濃くしてしまう。溶かされた秘部を掻き乱すルパンのそれがたまらない快感を降らせた。ずくっずくっと貫くように突き上げ、どうしようもなく敏感なそこを鋭く鋭く摩られて、甘い吐息が漏れる。
「っ…あーやばい」
「なに?」
「イきそう」
「あらそう」
「いい?」
「いいよ」
ルパンはぎりぎりまで腰を引くと、次元の感じるその場所を思い切り、
「なっぁ…はぁ、ん、あっ…ぁ、うぁ、っはぁ…!」
びくっびくっと体を縮こまるせ、次元は欲を吐き出した。
「わ」
快感を駆け上がった衝撃で次元は思わずルパンをしめつけて、内壁がふるふると震える。
(っやべぇ、きもち…)
「んっ、んん…っ」
イッたばかりの熱の残る体を押さえ付けるように、次元は目をつぶった。


「ふふっ…」
「ん、っ笑う、な…!」
「だぁーって可愛いんだもん、」
「っこの、」
「ほんと、たまんねぇ…いっそ仕事やめてヤリまくろっか?」
「お断りだっ!」



(このばか、俺が毎朝どんな思いで送り出してっと思ってんだ)






ふたりぼっち。
(世界は彼らの手の中に)











END












ル次絵茶で好評だったセリフをいれてみますた

120715

prev next





 


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -