「どんな君も」の続きっぽい





「…おい、なまえ」
「なんですか少尉」
いつものように抑揚なく平たく喋る。顔の筋肉を必要最低限しか使わないためか、少し声の音量が乏しい。だが、変えるつもりはない。疲れるし、めんどくさいし。
「なにはこっちの台詞なんだけど」


本日は珍しくダリル少尉の休暇。パリッと晴れた青空の下、自宅に引きこもっていたらお昼過ぎに少尉がわが自宅へ遊びにきてくださった(別に頼んでない)。
「お前、たまには外に出なよ」
お仕事は常に室内、たまにの休暇では外出したのは何年も前のこと。今では思い出すのも大変だ。今では、ネット宅配サービスなんて当たり前。宅配サービスのサービスに十分にお世話になっている。
「…遠慮しておきます。太陽は嫌いです」
どうしてわざわざ暑い外に出なければならないのだ。室内でも人間は十分に生きていけている。


「少尉はお好きですか、外が」
「別に嫌いでも好きでもないよ。そんなの」
「なまえのことはお好きですか」
「あたりまえ、ってはぁ!?いいいきなりナニイッテンノ!!べべつに好きじゃないよ!」
「お嫌いですか。残念です。私は少尉好きですよ」
挙動不審に腕を振り回している少尉の目をみる。
「え!す、すすすすきとかそんなに簡単に言っちゃ駄目なんだよ!!」
「どうしてですか?気持ちは伝えるべきだと思いますよ」
少尉の顔がトマトみたいだとおもった。プチトマト食べたいな。

「…お、お前ほんとうに僕のこと好きなのか」
「はいだいすきです」
「…どこが」
「全部です」
「…そう」
ツンツンした言葉とは裏腹に少尉の口角はほのかに上がっている。どうやら喜んでくれたようだ。
俯く彼の綺麗な髪がひかってみえる。


「…僕も」


わたしのだいすきなしょういはおつきさまいろ
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テーマ「人外ファンタジー」
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