俺は部室にいた。いろんな道具や役に立つのか不明の資料がごった返す部屋。
窓の近くにあるホワイトボードが夕日を反射して以外にも眩しい。
元、部長という権限でマスターキーは常備している。いつでも自由な部室に出入りができるのは便利なことだ。


それにしても暇だ。冬には受験を控えた高校三年生が暇な筈がないのだが。でも今は暇だ。時間をもてあましている。何故そんな俺が壁新聞部の部室にいるのだろう。この誰もいない部室に。
きっともう、耐えられなかったのだと思う。これでは勉強に身が入らないと、勝手に決め付けて行動したのだろう。カレンダーを見ては最後にあいつに会ったのを数えて虚しくなる。こんな気持ちになっているのは自分だけだろう。
そんなことを考えていたらもっと虚しくなってきた。
一日で最後のチャイムの音が響く。休日でも、初めと終わりは鳴るようだ。
そろそろ諦めて帰ろうと思った。だいたい自分の来る時間がおかしかった。休みの日の夕方に来てもあいつはいないだろう。半分開いた窓を閉める。

「先輩!?」

開いた窓を閉めたその時、驚いた声が聞こえた。

「先輩!どうしたんですか!?こんな夕方に」
「あ、いやちょっとね。君こそどうしたの」
「あたしは忘れ物をとりに。昨日、部活あったときに忘れちゃったんですよ筆箱」

へへ、と照れたふうに笑う君を見て顔が綻ぶ。
長い時間こいつのことだけを考えていたからだろうか。あぁ、やっぱり好きだなと思った。

「先輩、いまお帰りですか?途中まで一緒に帰りましょう!」
「…あぁ、そうだな」
「あれ?どうしたんですか先輩?」
「ん、どうしもしないよ」






ブログにて織り込んでおいた小話を少々修正して再アップしました
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