IZAYOI
R18指定(嫌悪感のある描写が含まれる可能性があります)

19

その白い建物の中の一室にはに小さな赤い花が咲き乱れていた
小さな花弁は可憐でありまたその匂いは誘うかのように甘く漂う

「なかなか良い結果が出てるらしいな」

その花を窓越しに眺めながら口髭を撫でつけ口端を上げた
闇ギルド『ファントム』のマスターであるジョゼである
そして満足げにソルを見る

「はい。鉄竜のガジルがよくやってくれております」

「あれはなかなか使えるな」

「えぇ。多少・・・勝手な行動が目に余りますが、結果は出しております」

片眼鏡を掛け直しながら憮然とした表情をしているのは如何ともし難い感情が出てしまっているからなのだろうか

「他の検体はどうだ?」

ソルは状況を伝えるべく手元の資料を捲る

「そうですね、やはり、魔力を持たないものは使えません。コレは魔導士用になってしまいますね」

「そうか・・・。まぁ、それで十分だろう。強力な魔力を持つ魔導士が自分のものになるんだからな。コレを欲しがる輩は沢山いるぞ」

「はい、そうでございましょう。記憶を思うままに塗り替える事ができるのですからいろいろな事に応用できますできますことでしょう、マスタージョゼ」

「うむ。では、あとは任す。儂とアリアはギルドの方に戻っておる」

そう言い残すとジョゼは音も無く消え去った

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「うげー、また乗り物かよ・・・」

目の前にあるのは幌の付いた魔導四輪である。既にここまで汽車に乗りヘロヘロになっているナツには折角収まった吐き気が込みあがってくる思いであった

「そんな事言わないの!少しくらい我慢しなさい!!」

ルーシィはそう言いながらサッサと中に乗り込んでいる。

「ナツぅ。早く乗りなよー。もう少しだから」

ハッピーに手を引かれ嫌々ながらも乗り込むナツ。それを微笑ましく見て居たエルザは前の座席に乗りSEプラグを装着した

「よし、急ぐぞ。『ファントム』の研究施設はあと少しだ」

やっと、手がかりが見つかって此処まで来れたんだ。その思いが皆を一つにしていた。
仲間を信じ、労わり合う。誰一人欠けることなんて考えていない
フェアリーテイルという家族なのだから。もし、離れたとしても心は繋がっている

魔導四輪を駆動し始めた時は舗装されていた道だったが、いつの間にか凸凹とした山道に変わっていた。
カラダが上下に跳ねる度に込み上げる吐き気に気を失いかけているナツ
どうしてこんなにも乗り物酔いがひどいのか。自分のカラダを恨めしく思いながら吐き気と戦っている
むしろ、アイツのが苦しい思いをしているに違い無いのだから、こんな事でへこたれてなんていられない。

「エ・・・エルザ、急げ・・・ウプっ」

「言われなくても分かっている」

更に加速をする魔導四輪。研究施設と思える場所までは山道とは云え、道が通っているはずである。
後ろでのびているナツの為にも、囚われているグレイの為にも
真っ直ぐ前を見据えるエルザの目に見えたのは木々の間から自然物では無い建物であった

「あれか?」

少し広めの脇道に魔導四輪を慎重に止める。救出した時のためにも乗り物は必要だからだ。

「ルーシィ、ハッピー、お前たちはココで待機だ。私とナツで調査してくる」

「え!?」

「もしも、私たちまで帰ってこないときは応援要請を頼む」

「う・うん。わかった。気を付けてね」

「うっし、行くぞー!!」

ルーシィは心配げに二人を見遣るが信じるしかない。その思いを瞳にこめて二人を見送った
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2012.01.28(11.26再掲載) RIU.

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