IZAYOI R18指定(嫌悪感のある描写が含まれる可能性があります) |
08 ギルドの酒場ではいつものように喧噪としていた 「あれ?グレイどうしたの?」 こっそりと出ようと思っている時に限って見つかるのはしょうがないのかルーシィが心配そうに声をかけてきた 「い・いや、ちょっとな。俺、今日はもう帰るから」 苦笑いをしつつこれ以上の詮索されないようにさり気にその場をあとにする・・・のだが、腰がだりぃ〜。まじ、ジジィじゃないんだから。それにしてもこれはヤバい 「ちょっ、なんか歩き方変だよー・・・」 言われなくても分かってる。ちくしょーナツの野郎。 「おーい、グレイ待てよ。」 後方から聞こえてきた声を無視してギルドの扉を出て行こうとするが、向こうは走ってきているのであっという間に追いつかれてしまった 「マジで待てって」 そう言いながらナツは俺の腕をとって肩にまわしてきた 「何すんだよ」 「少しは楽だろ?ってかお姫様抱っこのがいいか?」 ニヤっと笑うナツは悪戯に黒い笑みを浮かべている 「はぁー」 思わず深いため息が出てしまう 「ナツ、てめー二度とやらせねーからな」 切れ長の目で睨みながら言う言葉にナツは一瞬たじろぐがすぐに思い直したのが弾けるような笑顔を向けた 「そんなん、グレイのがもたねーんじゃね?」 「っ!!」 思わず羞恥に真っ赤になる顔でナツを睨むがそんなことお構いなしにナツはカラダを寄せてきた。すでに片腕は肩の上。ナツの腕が腰に回されさらに密着した状態である。 「てめー、いい加減にしやがれ」 近づく顔に悪態を付くが当のナツはどこ吹く風とばかりにグレイの頬にそっと口づけた 「はっ!?」 思わず間抜けな声を出してしまってから気付いたのだが、視線を感じる。 そう、ここはギルドの扉の前である。まだ外には出ていなかったのだ。 「あんたたち、早く出て行きなさいよ」 いい加減うんざりだと言わんばかりにカナがため息がてら言った。 周りを見回してみると近くにいたものたちには二人の会話は筒抜けであったみたいで視線が痛い。 「うぎゃ〜〜〜・・・」 居た堪れなくなって脱兎の如く逃げ出そうとするが、足が縺れる。 コケそうになったところをナツの手が助けてくれた 「最悪だ・・・」 「最悪過ぎる」 「ナツ・・・今日はもう帰るかんな!」 「絶対にうちに来るんじゃねーぞ。来たら絶交だからなっ。もう家に帰って寝る・・・」 ブツブツと言うグレイにナツはしょうがないと肩を竦めてとりあえず歩こうと促した 「なぁ、グレイ。今日はゴメン。本当、悪かった・・・」 「・・・・・悪いと思うなら盛んじゃねー。」 「うん。でもさ、なんか妙にムラムラしちゃうんだよなー」 「・・・・・男に言われても嬉しかねーよ。」 心底げんなりしたように言うグレイにナツはニヤリとした 「俺に言われるのは嬉しいだろ?」 本当にコイツはオメデタイ頭をしている。 フッと笑みを漏らしたグレイはナツの頭に手を伸ばし髪を梳くように撫でた 「とにかく、今日はもうダメだからな?」 「あー、しゃーねーな」 ゆっくりとした歩調ではあったがあっという間にグレイの家の前に着いてしまった 名残惜し気にグレイの手を取るナツにグレイはさり気に手を外して「じゃーな」と言って素っ気なく家の中に消えてしまった 「んだよっキス位させろっつうの」 隔てるドアに向かって恨みがましく小さな声で悪態をつくナツではあるがため息を一つつくと身体を反転させて来た道を戻っていった それは突然の出来事だった。その日を境にグレイがギルドに姿を現さなくなったのだ。 そして、グレイの居た家では染み込んだ愛しい人の匂いだけが漂い、成す術も無く茫然と佇むナツが居た。 『神様、一粒の希望を俺にください・・・。』 - - - - - - - - - - |
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