Halloween Happiness


隔してハロウィン当日・・・
ハロウィンに浮かれる街を後目にアッシュは相も変わらず書斎のPCの前に座り調べ事をしていた
それこそ、あの抗争の最中の緊迫した日々から思えば今は平和である
ストリートキッズとしての日々は既に回顧の中であり、今は仕事としてPCの前にいるのだ
そんなアッシュに英二は控えめなノックをし、部屋の中へ入ってきた

「アッシュ?コーヒー淹れたよ。少し休んだら?」

「あぁ・・・」

英二は手に持ったコーヒーカップをアッシュに手渡すと近くにあるソファに腰をおろした

「ねぇ?やっぱり・・・」

「ん?」

英二は所在無げな指先でカーディガンの裾を摘まみながら眉を八の字にし困った顔をしている
アッシュはPCに向かっていた身体を椅子を回転させ英二の方に向き直った


「何?オニイチャン、悩み事?」

「うぅ・・・アッシュ、アレックス達の開くパーティ行きたいんだけどさ・・・あれは着たく無い・・・」

「なんだ、そんな事か。着ろよ似合ってるぜ?」

「いや、でもさ、やっぱり・・・僕だって男だし?あんなの着て行ったら笑われるよ」

「ハロウィンは仮装するもんだろ?オニイチャン張り切ってたじゃないか」

「でも・・・」

「俺だって、お前が行きたいっていうから仕事終わりにしようと頑張ってるんだぜ」

そう言いながらもニヤニヤとした笑みを浮かべているアッシュは面白がっているのがわかる
英二は頬を膨らませながらも意気消沈するかのように肩をがっくりとおとした
結局は何も言えずスゴスゴと部屋を後にした

「ハロウィンなんて最悪だ・・・」

昨年、部屋をかぼちゃだらけにした罰だろうか等と考えながら寝室に行きハンガーにかけられた2着の衣裳を眺めた
左側にかけられているのは黒いタキシードに銀色の刺繍が施されたベスト、白いドレスシャツに黒いマント、小物として長い杖まで添えられてある。所謂ヴァンパイヤの出で立ちだ
右側にかけられていたのは対照的な真っ白なフワフワとしたワンピース。裾が内側に丸くなるようになっている。ご丁寧にも後ろの部分にはまん丸い尻尾まで添えられている。そしてうさぎ耳のヘアバンド
どう見ても子供用のその衣裳に面白くない

「そりゃ、僕はここでは背が低いさ。でも日本だったら大人サイズで入るのに!!大体なんなんだよ兎って!お化けでもなんでもないじゃないか!!」

英二、渾身のつぶやきに隣の書斎から微かな笑い声が聞こえたのは気のせいでは無い筈だ
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