Valentine Kiss
(ナツグレ前提ロキグレ)

バレンタイン記念SS

その日の俺は何を考えていたのだろう
自分の家で久しぶりの休日を満喫しているところだったはずなのに
目の前にいる彼は橙色の髪を軽く立ち上がらせ理知的に見える眼鏡の奥からは欲情に支配された瞳をしていた
本能的にこれはヤバいと思っていたのに、目の前の獅子に竦んでしまった
顎を捉えられ息が吹きかかるほど近づく唇に硬直して動かない
自分の身におこったその事実に成す術無く立ちすくむしかなかったのだ
不意に思い出すのは桜色
アイツは今はルーシィ、ハッピーと一緒に仕事にいっている。
ゆっくりとした動きで唇から離れていく暖かな感覚に我を忘れていた

「グレイ、好きだよ」

そして、もう一度口から紡ぎだす言葉とともに唇に柔らかい感触。しかし、それはまたすぐに離れていってしまい。ふと追いそうになってしまう

「ロキ、なんで・・・」

「僕は君の事が好きなんだ」

橙色の彼はポケットから何かを取り出すと包みを開け始めた
直径3pほどのチョコレート色のそれを取り出すと呆けている俺の口に放り投げた
見た目からもわかるが、所謂チョコレートである。しかし、高級感溢れるそれはしつこい甘さは無く程よい渋みとチョコレート独特の濃厚感があるもので
軽く噛み砕くと口の中に広がる幸福感に思わず頬が緩んでしまった

「うめー・・・」

「口に合ってよかった。僕にも味見させて」

そういうとまたもや唇に暖かい感触とともにぬめりと舌が割り込んできた
歯列をなぞりながら口の中を徘徊する感触と先ほどのチョコレートの濃厚さが相まって俺を蕩かしていく
下唇を啄みながら離れる口元を見つめているとまた同じようなチョコを口の中に含んだ

「ん、美味しい。グレイ、味見してみるかい?」

思わずその唇を凝視してしまい、先ほどのチョコの味を思い出す
美味しかった其れは甘い痺れとともに身体を揺り動かした
今度は自分から唇を寄せていき、チョコの味を確かめようと舌を割り込ませた
絡め取られるように舌を吸われ、すぐに先ほどよりも甘い味が口の中を満たした

(さっきのと違う味がする・・・。ミルクチョコレートか?)

お互いの口内を満たす甘い味をもっともっとと追い求めてしまったのは自分だった
また違うチョコが唇に触れると口を開き誘導する
舌の上で転がるのは酸味のある甘酸っぱさで苺の味だとわかった
丸い形のそのチョコを歯で割ると中からトロリと苺の酸味が広がった
すぐにまた口を重ね合わせてお互いの舌を絡め合い口中を味わいあう
夢中になって唇を貪りあっているうちにベッドに押し倒される形になっていた
何時の間に脱いだのか既に上半身裸である
もしかしたらキスし合いながら自分で脱いだのかもしれない
男としての性なのか、ロキのキスが上手いのか半分反応している自分自身に驚愕してしまう

その後の激しい行為に夢中になりすぎたのが悪いのか
腰に響く鈍痛に1日ベッドと仲良くしていたのはしょうがないと言える
そして、何より怖いのはナツが帰ってきたときにこの行為がバレる事である
桜色のアイツが帰ってくるまで後3日。それまでには俺も平静を取り戻しているだろう。

だけど、口の中に広がる甘い味は癖になりそうだ

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2012.2.12 RIU.
2012.05.03再掲載
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