華蜜恋-カミツレン1- (ロキ→グレイ←ナツ) |
僕はどうしてあの子を好きになってしまったのだろう・・・ 「ね、グレイ?僕と付き合ってよ」 漆黒の髪は艶々していてその黒髪の間から覗く瞳は黒曜石のよう。 その瞳から一粒の涙が零れた時、僕は『恋』に落ちたのかもしれない。 男を好きになるなんて思わなかった。いや、正確に言えば女の子の方が好きかな。柔らかな肌。仄かに香る女の子特有の良い匂い。男と違って華奢なカラダは守らなくてはと思ってしまう。 「あ?意味わかんねー」 そう言ってギルドの中に入って行ってしまったグレイ。 君はつれないね。僕がこんなに好きなのにさ。 まぁ、自分でもわからないってのが正直な感想。だって、れっきとした『男』だよ?僕と同じものがついてる『男』だよ? でも、つい目で追ってしまう君の姿。 『あ・・・』 また脱いでる。器用な脱ぎ方だ。どうやったらあんなキレイな脱ぎ方できるんだろう。 ほら、ナツがきた。グレイがギルドの酒場に入ると間を置かずに桜色の彼がちょっかいをしかけるんだ。まぁ、逆もあるけど。 言い争いもヒートアップしてきたし、そろそろかな。周りの皆も囃し立てる。掴み合いの喧嘩始まっちゃった。今日はエルザも居ないし止めなくてもいっか。 僕は不貞腐れたようにテーブルを見落とす。 「ロキ〜。ここに居たの?探しちゃったー」 声がする方を見上げると街の女の子が二人。やっぱ女の子はいいな。良い香りがする。肩に腕を回すと程よい密着感。柔らかい肌だ。 だけど・・・本当に傍に居たいのは・・・ うわっ。僕、やばいな。本気になるなっ。 思わず頭を振ると、両隣に居た女の子が不思議そうな顔をして覗き込んできた。 「ね、ロキ大丈夫?」 「あ、あぁ大丈夫だよ。よし、僕も参戦してくるかなー」 目の前ではナツとグレイだけじゃなく、ギルドの中でも血気盛んな奴らが楽しそうに喧嘩をしているのだ。 「がんばってー」 「うん。見ててね〜」 僕は本当は乗り気では無いけどとりあえずその喧噪のなかに入っていった。 「ぐあっ」 いきなり殴られたけど・・・誰だ!?周りを見回すが該当する人物が大勢で誰かわからない って、こんなところでボーっとしてたら恰好の餌食だ・・・ とにかく、お目当ての子のところまで行くしかない。僕の目は不思議とあの子がいるところは一瞬でわかる。まぁ本当はずっと見てたからだけどね。 飛んでくる酒樽や椅子、テーブルの破片?を避けながら目的地へ 「うぁっ」 誰かが後ろからぶつかった拍子に僕のカラダごと前にいる人物にぶち当たってしまった 「いってー」 あぁ、この声。愛しいあの子だ。 黒曜石の瞳から一粒の涙。キュンってしたぞ。痛みに耐えながら涙を流すなんてなんて萌えr・・・いや、なんて可愛いんだ。 「あっごめん」 気づくとグレイを押し倒したような恰好になってる。なんて美味しい展開・・・ 「っ!!」 と思ったら横から邪魔なナツが飛び込んできたんだ・・・ 「おい、ロキ!グレイから離れろ!!」 いや、もうお前に突き飛ばされて離れてるから・・・ 「ナツ。やきもちは良くないよ」 嫌味の一つでもいってやる。グレイに手を差し出して助け起こすと爽やかな笑顔で「サンキュ」と言って立ち上がった あぁ、もう抱きしめちゃおうか。 「離れろってんだろ!!」 僕は思った通りに行動していたらしく、腕の中にグレイが居たんだ。ナツの声で我に返ったけど、本当、邪魔な奴。 無理やり引き裂かれる二人。うーん、いいね〜。悪役はナツで決定だ 「ね、ナツはグレイと何したい?」 「「は?」」 ナツとグレイの声がハモって聞こえた。そんなところで仲よくならないでよ・・・ 「えーと?グレイと?」 突然の僕の問にも律儀に返そうとするナツに僕はうんうんと頭を縦に振る 「うーん。グレイと・・・」 そう言いながら顔を赤らめてるよ。ナツ、何考えてるの!?やっぱりなー・・・ナツもそっか・・・ 「僕はねー。こんな事かなーっ」 グレイを引き寄せて抱きしめ顔を寄せてキスをした。うん。薄い唇だけど柔らかくていい感じだ。なんだか周りもグレイも時が止まってるようだけど気にしない そんな隙だらけだともっと深いキスしちゃうぞ。と思う間も無く突き飛ばされてしまった。それでも幸せなんだ 「ばっバカな事すんじゃねーっっ」 真っ赤なグレイは手の甲を口に当てて狼狽している。 ナツはと見れば未だに呆けている しょうがないなー。君の事は好きじゃないけど、仲間だから。 頬を両手でそっと包むと周りに見えないように軽くキスしてやった。 「そんなショック受けないでよ。グレイとの間接キス、どう?」 不敵な笑みで敵を見るとこれまた真っ赤になっている。まぁ、君を見てもときめかないから安心して。 ね、グレイ。僕は君だけに恋しているらしい。 end. - - - - - - - - - - 久しぶりにロキグレ書きましたがいかがでしたでしょうか? あ、正確にはロキ→グレイですね RIU 2012.01.07 2012.05.03再掲載 戻る |