第三話 後に繋がる大きな出会い




ここは...リターの明るい雰囲気とはうって変わり、暗い配色に満ちた大きなアジト
リターの宿敵である ダークミストの本拠地
その中の...大広間でヨクコはとても悔しそうにジタンダを踏んでいた。

「なんなのよぉぉ!!リターがシステムを起動していたなんて聞いてないいぃぃ!!あたしの可愛いペットがやられちゃうしぃ!あの小娘マジでウザったらしいわ!!」

物に八つ当たりを繰り返す。

「ヨクコ...どうした 何かあったのか?」

ヨクコのもとに小さな男の子が現れる。どこを見据えているのかわからない、感情の無い冷たい瞳で彼女を見つめる。

「げっ...ゼルファー様」

ゼルファーはダークミストの長であり リターと対になる存在。

「何か不都合なことでもあったのか? ネルとラルは捕らえたのか?」
「もっ申し訳ございません、その二匹を捕らえてリターを表に出そうと試みたのですが...指輪戦士がわたくしの邪魔をっ」
「ヨクコ、その指輪戦士は誕生したばかりなのだろう?ならば経験も能力も浅い
次は油断せず確実に始末することだ...一刻も早く我がもとにリターを連れてくるのだ。」
「承知 いたしました......」

ヨクコの額に冷や汗が浮かぶ

ゼルファー様はお急ぎになられている
わたくしら部下にリターお嬢様を連れてこいとおっしゃられている 
失敗はあまり許されないであろう 前回の様なことが何度も繰り返されたら 【操作】の刑に罰せられてしまうだろう

ヨクコは 今度こそ 今度こそ  と胸に刻み、再びリターの住む町へ向かっていった......

ーーーーーーー 一方 ーーーーーーーー

一菜はネルとラルに連れられて、リターのアジトに向かっていた。
人気の無い寂しいところに 白い小さな一軒家があった。
二匹はその中に入っていく、続けて一菜も、一声挨拶をかけながら家の中に入っていった。

みたところごく普通の家なのだが......地下室に誘導されたので行ってみると、機会仕掛けの一室であった。大きなモニターもある。

そこで待っていた者は.........

「あなたが私の戦士 リングエゼラーナなのですね?」

そう言ってきた一人の小さな少女とオッドアイの瞳をもつ少女の二人であった。

「あんたの戦いはモニターで見させてもらったけど...全く 駄目ね。勝てばいいってもんじゃないの、先が思いやられるわ......」

その大きなモニターには今は何も映っていないが、どうやら指輪戦士の戦闘の様子が映し出されるようだ。
一体どういう仕組みなのか?

..........後で名前を聞かせてもらったが、小さな少女 リターは一菜のことを快く歓迎してくれたのだが、オッドアイの少女 ナナフィーは一菜を快く思っていない...迷惑そうな様子であった。(リターやラルに説得されてしぶしぶ迎えいれていた)

一菜は 先ほどは訳が分からないまま、ウサギに説得されるがままに指輪戦士になり ヨクコと戦った。
疑問が多々あるのでそれを聞き出すことにした。

「そうねぇ...まあ、戦士の説明はしておかないとね。」

ナナフィーはそう答えると、少しめんどくさそうな仕草で戦士の行動すべきことを説明しだした。
色々と回りくどく ごたつく説明の仕方だったので一菜は自分の頭の中でわかりやすいようにまとめていた。

・正体がバレてはいけない
・リターの命を狙うダークミスト一味と戦う
・リターを絶対にダークミストに渡してはならない
・あと二人仲間がいるので見つける(戦力向上にもなる)
・リングフォンの通信を活用する

一菜の手には一つの携帯が手渡されていた。それこそが【リングフォン】

指輪戦士に配られる通信機で、これがあれば仲間のほかに主であるリターやナナフィー達ともメールや電話でいつでも連絡がとれる。

「ほぉ〜 便利なモンね」

一菜は面白そうにリングフォンを弄るが、思い出したかのようにナナフィーに問いつめだした。

「指輪戦士のすることってーのはわかったけどっ!肝心なあんたらの事は聞いてないけどー...教えてくれないの?」
「仲間を集めなさい 話はそれから。」
「即答っすか...そうっすか......」

ナナフィーに冷たく返事され落ち込む一菜にネルが言う

「オレたちのことは話すと長くなるんだぜい〜(多分)何度も話すと怠いし、どーせなら指輪戦士が揃ってから話した方が手間が省けるってもんよ。」
「む ぐぐぐ......しょうがないか、わかったわよー現れる敵はちゃちゃっと倒して仲間をささっと見つける!だから......ちゃーんと教えてよね!!」

一菜は変な空気に耐えられない性格なのでいつも先におれる。

「ヨクコとの初戦を見る限り不安なのよねぇ一菜は、ネルとラルをサポートにつかせるから戦闘でわからない事はその二匹に聞いてよね。」

どんだけナナフィーに信用されていないんだろう...一菜はそう思いながら がっくりと肩をおとした。

「オレたちが的確なアドバイスをしてやるじぇ!」
「イチナ〜よろしくですの〜」

この二匹 もふもふ可愛いからマスコットキャラっぽいな〜とつぶやきつつ
「ネルとラル...だっけ?(どっちがどっちか解り辛いな...)人にばれないように普段は私のバッグのなかに隠れててね。」
と二匹に注意をする。

「はいよっと...あ、いっとくけどな オレにはもふもふさせねーかんな!」
「ラルは〜どんどんもふもふしてほしいですの〜けなみをもっとふかふかさせたいですの〜」

さっそくラルをもふもふ ふかふかをする。「うわあ〜あったかあ〜い...けど今は春時期だからあつーい......でもやわらかくていい気持ち.......」

ネルは一菜のバッグの中に飛び込む。

「じゃあ一菜、これから よろしく くっれっぐっれっもあたしを絶望させないでよね」
「.................................」

ナナフィーをいつか絶対関心させてやるっ!そう心に強く近い、一菜はアジトを後にした.............

自宅に帰る途中、一菜は妙な少女を見かけた。

ブロンドの長い髪をツインテールに縛り、瞳がリンゴのように赤く、桃色を強調させた服を着る とても可愛らしい身長の低い女の子。一菜はその可愛さについ胸をきゅんきゅんさせてしまった。

(拉致したいくらい可愛いっ......)←危ない人

一菜はその女の子をしばらく観察する。どうやら困っている様子で、きょろきょろと辺りを見渡し「にゃーこ にゃーこ」と呟きながらなにかを探しているようだ。

一菜は声をかけようとしたが、戦闘でつくった怪我が思い出したかのようにジリジリと痛みだしたのでしぶしぶと帰る事にした......


ー翌日の放課後ー


すこし羽を伸ばそうと考えた一菜は、自宅に帰る前に近くのカフェに寄ろうとしていた..........ところ

何やら路地裏が騒がしい、ネルにせかされ向かってみると、巨大な白猫が大暴れをして道路を壊していた。

「どっしぇ〜なにこの猫...ヨクコの仕業!?」
「ボサッとしてねーで変身しろ!!」

一菜は素早く変身をすませ、巨大猫と戦闘を始める。
同時に ネルとラルは何者かの気配を感じ、アジトに逃げ帰ってしまった。
それに気づかず戦う一菜、ヘマをして少々苦戦するものの無事に締め技【シャインフィールド】を決めてささっと巨大猫を倒す。
戦闘の疲労が激しいため、カフェに行く事をやめて自宅に帰る事にした...

実は 先ほどの一菜の戦闘をみていた小さな陰がある事を 一菜は気づかなかった......

その帰り道の途中 「うわ もう無理〜」 一菜は疲労に耐えられずその場にしゃがみ込む。(人気の無い道路だからOK!)
戦闘時の疲労や怪我は変身が解けてもある程度残る この間ネルから教わった事を強く痛感する一菜。
そのまましゃがみ込んでいたら......

「にゃーにゃー んにゃーん」

猫の鳴き声が聞こえた。
一菜は顔を上げると、すぐ目の前に小さな白い猫(さっきのモンスターとは別物)がこちらを見つめていた。

「...猫?」

その猫を抱きかかえながら立ち上がる。

「にゃーん ごろごろごろ......」

人懐っこいのか、特に抵抗せずに大人しく一菜の包容を受ける猫。

とてもふわふわして心地よいので、暫くこのままにしていたら......

「にゃーこ!!」

昨日の可愛らしい女の子が駆け寄ってきた。

「にゃーん」

子猫は女の子のもとへ飛び移る。

「おねーたんが【にゃーこ】を見つけてくれたのだ?」

女の子は満面の笑みで一菜を見つめる。
みつけた...というよりは子猫の方から近づいてきたような...

「まあ....うん そうね」

だが 見つけた事にしておく。

「ありがとーなのだー♪この子すぐどっかにいっちゃうのだ〜」
「そっか じゃあ今度から気をつけなよ じゃあ ね」

早く家に帰って寝たい一菜は、そうそうに切り上げて去ろうとした ら

「ちょっとまつのだっ!」

女の子がぐいぐいと服の裾を引っ張る。

「名前教えてほしーのだっ自分は海白サナリなのだー」
「..........白川一菜 じゃ じゃあ.....ね」
「今日はありがとーなのだー 一菜おねーたーん♪」

お礼と名前を呼ばれ、胸をきゅんきゅんさせながら 一菜は家に帰っていった。





その様子をサナリと子猫はじーっと見つめる。サナリは子猫に小さく呟いた。


「一菜おねーたん、変身してたのだ。赤いかっこいいおねーしゃまになって 大きな巨体と戦ってたのだー
サナも戦いたいのだー!!」



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