ミレーヌ

「ヴォルト、私はお前のことが― 「―すまない、ミレーヌ―」

振られた。分かっていた、こうなる事くらい。なのに…

「あーあ振られちゃったねえ、ミレーヌちゃん」

通路にシャドウが立っている。その様子だと恐らく先程のことを聞いていたのだろう。

「…一体なんのことだ?」

こんな台詞意味はないと知っているのに口をついて出る。案の定シャドウは核心をついてきた。

「なんのことって、ヴォルトに告って振られてただろシャッシャッシャッ。悪いけどぜーんぶ聞いてたんだよなあ、これが。」

やっぱりか…。全くこいつの相手は疲れることこの上ない。ヴォルトならこんな風には……やめようこうゆう考え方は。報われない恋など早く忘れなければ…。

「…でも良かったんじゃね?ほら、よく言うだろ?真面目ちゃんと真面目くんは合わねえってよ。ヒャハァッ」

バチン!!

通路に乾いた音が響く。シャドウに怒りを覚えビンタを張った。

「いってぇ……」

「貴様…何が言いたい!?」

「…つまりよ、ヴォルトなんかよりも俺の方があんたにはお似合いってことだよ。」

「…ふざけるのもいい加減にしろ。」「俺はいつだってマジだぜ?」

「下らん。つくならもっとマシな嘘をつけ。」

シャドウの前を通り過ぎようとする。

「嘘じゃねえって。シャー。」

後ろから抱きしめられる。心臓の鼓動がドクドクと聞こえる。

「好きだぜ」

耳元で喋るな!息が耳たぶにかかって変な気分になる。それをシャドウが感じとったらしい。ニヤニヤしながら言う。

「…へぇー。ミレーヌちゃん、まさか耳感じちゃう?」

「……いい加減にしろと言っているだろうが!!」

ドゴッ!

シャドウが仰向けに倒れる。私が思いっきり頭突きしてやったのだ。そのまま私は足早に通路を歩く。顔が熱い。心臓がドクンドクンしてる。なんだこの動悸は…


シャドウ

「なーんでそんな態度取っちゃうのかなぁ。シャドウってもしかしてバカ?」

リンクが俺の顔をのぞきこむ。呆れ顔をしてため息をついている。

「うっせえ…」

好きな奴にはついついいじわるしたくなる性分なんだよ。でも

「なんでよりによってミレーヌなんか好きになっちまったんだか…」

もっとゲットしやすい女だったら…いや、そんな女だったら俺はきっと惚れてなんかいない。今のミレーヌだから俺は好きになったんだ。「ミレーヌは怖いし気難しいしで俺は恋愛対象としては見れないけどねー。」

…まあもうちょい優しけりゃなぁ、なんて思ったりもするが。

「でも…好きなんだよなぁ…」

自分でも呆れるくらいに。

「ねえ…俺にしない?俺って結構尽くすタイプだよ?ミレーヌなんかよりあんたを楽しませれると思うんだけど。」

リンクが馬鹿なことを言う。慰めるにしても下手くそすぎる。―そう思うことにした。今のは全部慰めるためだけのジョーク。俺に気があるとかそんなんじゃない。そう思わなければ冷静でいることなんてできなかった。

「…バーカ……そーゆーのは好きな奴に言いな。」

軽く流した(ように見えているだろうか)。
「…え?」

リンクが傷ついた顔をする。俺はリンクの顔を見ない様にして言う。

「そうゆうこと言うのは俺みたいなムサい男にじゃなくてかわいい女に言えっての。お前には絶対お似合いの女がいるからよ。シャー!」

ごめんな、リンク。俺はお前を選ぶことはできない。

「さてと、戻るかな。」

そう言うと俺は立ち上がり部屋へ向かった。リンクを1人残して。ミレーヌに叩かれた頬がジンジンする。なあに、時間はまだたっぷりある。
待ってなミレーヌ、ゆっくり惚れさせてやるからよ。シャー。


リンク

シャドウが立ち上がり自分の部屋へ歩きだした。

「……こんなことお前じゃなきゃ言わないっての…。気づけバカ…。」

やるせなさすぎてため息がでる。どっちも男でしかも片思いって…

「…不毛だなぁ……」


そうつぶやいた声は虚しく通路に響く。そしてそれはすぐに空気に呑み込まれ、跡形もなく消え去った。



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ヴォルト←ミレーヌ←シャドウ←リンク、です!
まさか初HEXものがこんなんだとは自分自身驚きました^^;




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