森の中をシュン雪姫がずんずんと歩いていると、急に視界が開けました。小さな野原でした。その野原の隅っこに小さな家がありました。家の中からは賑やかな声がたくさん聞こえてきます。近づいてみると住人達はとても楽しそうに話しています。
「……それでさ………シャー!……フン……」
シュン雪姫が思いきってドアを開けると、小人のプリンス・ハイドロンとHEXの皆さん方が安っぽいご飯を食べていました。
「…ぁあ?誰だてめぇはよ、シャー!」
見るからに頭がおかしそうな小人、シャドウが訊ねました。
「俺はシュン雪姫だ。」
シュン雪姫は答えました。
「うっわ、ブローラー国のお姫様じゃん。」
リンクが言いました。
「姫君が我々に何の御用でございますか?」
髪をくるくると指に絡ませながら気取った風にプリンス・ハイドロンが訊ねました。プリンス・ハイドロンに向かってミレーヌが小声で悪態をつきました。
「かっこつけるのもそこそこにしておけ お坊ちゃんめ…。」
色々あってシュン雪姫が今までの経緯を話しました。
「…というわけで、城から追い出された俺はここまでやってきたんだ。」
「それで?我々にどうしろと?」
ミレーヌが訊ねました。
「数日程ここに居候させてもらいたい。」
シュン雪姫がそう答えると、
「貴様、図々しいにもほどがある!」
とガスが叫びました。
「落ち着け、ガス。」
「申し訳ありません、スペクトラ様。しかし…!」
「あーうるせえうるせえ!このスペクトラの犬が、黙れっつーの!シャー!」
「なんだと!?貴様っ!」
「やめろ、ガス。」
ガスはスペクトラに注意されましたが、シャドウに馬鹿にされまたきれてしまったのでまたスペクトラに注意されました。
「はっ!申し訳ありません。スペクトラ様。」
ガスが落ち着いたところでスペクトラがシュン雪姫に交渉を持ちかけました。
「勿論ただでとは言わないだろう?我々も1人分の寝床や食事を用意するのは大変でね。何かそれに見合う物がなければな。どうだろうか、姫君。」
シュン雪姫はそれもそうだと思い、ポケットの中からシャーマンをとり出しました。
「手土産に持ってきたが、これはどうだ?」
その時、それまで空気だったヴォルトが口を出しました。
「爆丸をなんだと思ってる!爆丸の大切さに失ってから気づくのでは遅いんだぞ!」
「いや別に俺の爆丸じゃないし。」
シュン雪姫はそこらへんはドライでした。ヴォルトはそれ以上何も言えなくなったのでまた空気に戻りました。
「セイント・シャーマンか…。ノヴァ・ドラゴノイドと比べると大した爆丸ではないが、まあせいぜい実験に役立ってもらうとするか。いいだろう。交渉成立だ。」
スペクトラはそう言ってシュン雪姫からシャーマンを受け取りました。ああ、シャーマン!ああ、シャーマン!その男からはきっと逃げれない!さようならシャーマン!頑張るんだシャーマン!お前ならできるシャーマン!!
シュン雪姫はとても疲れたので、ベッドが用意されるやいなやベッドに横になりました。明日もいいことがありますように、とシュン雪は眠りにつく寸前にお祈りしました。



シュン雪姫 3
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