夜の兎 | ナノ


▼ 4

 2試合目八百万、青山、葉隠、常闇VS拳藤、小森、黒色、吹出

 黒を操る黒色が黒影に入り込み支配したことで最も攻撃力の高い常闇の行動を牽制。そして小森のキノコで黒色の場所を隠し、動きを制限。さらに葉隠の場所を炙り出す。着実に場を整えていくB組。


『ドドドドドドドォオン』


 瞬間、巨大な崩壊音と共に文字の壁が生まれ、フィールドを割いた。


『なんかでたーーーーーー!!』


 さらに『ジメジメ』という文字が起き上がり、周囲の湿度が上がると共にキノコがさらに増える。そして、葉隠、飛ぶ常闇、救出された青山の3人と八百万で分断される。


「範囲攻撃2人はキツすぎる。あと…オノマトペ海外だとどうなるんだ」


「知らん。見ろ!!今の壁で八百万だけ分断された。ブレーンを切り離した!」


 範囲攻撃2人、そして常闇の天敵である黒色、近接の拳藤とBチームはバランスが良く、Aチームには武が悪い。が、それを超えるのが以前の八百万の苦手分野であり、今では得意分野である。


『あとは力で攻め切る!!』


『盾をッ!!』


 拳藤の張り手が盾を破壊し、八百万を攻め立てる。


「あっという間に有利な状況をつくり出しやがった!!これがうちの拳藤さんよ!!」


「最善手かはわかんねェな」


 拳を振り上げた鉄哲に水を差す轟。名前はお?、と首を傾けた。確か、轟は期末で八百万と組んでいた。だからこそ、分かっているのだろう。


「え!!?」


「八百万を警戒しての分断なら見誤ったかもな」


「え!?」


「八百万を警戒すんなら4人の総力でまっさきに潰すべきだった」


『ちょっと大砲って!!!』


『時間が掛かりますの。大きなものを創るのは!』


 一体いつから。そんな疑問を拳藤が持つ間もなく体から大砲を生やした八百万がその砲を壁に向ける。拳藤はすぐさま大砲に向け、巨大な掌を振った。だが、その標準は八百万ではない。


「何か打ち上げたぞ!」


 一対一では拳藤の方が戦闘に長けている。さらに八百万は無防備な状態。体に拳が入り、八百万は気を失った。そして画面は常闇に移る。


『黒影!』


 八百万の放った袋の中身はサーモグラフゴーグルと滅菌スプレーだった。それを両者体に塗布し、ゴーグルを付けた常闇が合流した黒色、そして小森の元に迫る。


『深淵暗躯”夜宴“』


 黒影を纏った常闇が小森、黒色を攻撃し、個性で逃亡を図る黒色を外套に封じ込める。そして、残った吹出を葉隠が攻めた。


『ゴホッゲホッ』


 劣勢だったA組に光がさす。だが、突然、常闇が動きを止め、咳き込み始めた。


『ごめんね。可愛く無いから封じてたけど負けそうなのにやらないのもダメキノコだもん。肺攻めスエヒロダケちゃん』


「小森は戦闘能力低いけど恐ろしい奴さ。訓練だからと抜かったね常闇!気絶させるべきだった」


 そう物間が言った時、吹出を攻めていた葉隠の体を大きな拳が包む。姿を現したのは拳藤だった。


『大砲付きで絡みついてきた。動きにくくてしょうがない。想像するもの全部先を見据えてて勝った気しないな』


 大砲ごと拳藤の体に縄を巻きつけ、気絶する八百万と一緒に。


「第2セット!!4-0でB組勝利!!」



     ――――――――――――


 フィールドの損害が大きいために休憩を挟み、 ステージを移動して次の試合へ。


「えーではステージちょっと移動させまして次、行くぞ!第3セット準備を!!START!!!」


 Aチーム、轟、尾白、障子、そして飯田。Bチーム角取ポニー、回原旋、骨抜柔造、鉄哲徹鐡


 見たところ索敵要員のいるA組の方がさっきとは打って変わりバランスが良い。さらにA組には攻撃力が高く、広範囲の攻撃が出来る轟がいる。B組の対応が見られるところだ。と、B組にカメラが移る。


『俺ァよ…良くバカ扱いされるわけだが。腐っても雄英合格した男。考えなしに生きてるわけじゃアねェのよ』


 パイプに触れる鉄哲。


『急にどうした』


『このチーム!!索敵搦手からっきしな奴ばかり』


『確かになー』


『ならどうする!?オイ!!皆!!なら当然』


『更地にするよなァ!!!?』


『バカの考え!!』


 辺りのパイプを薙ぎ払う鉄哲にカメラのこちら側にいる瀬呂が「何してんだ?丸見えになっちまうぞ。危なくね」と言った。


「ああなったら多分轟くんは…」


 きっと攻撃を。そう緑谷が言おうとした時、背後から「ヒィ…」と我慢するような笑い声が聞こえた。振り返れば腹部を押さえた名前が蛙吹の肩に頭を置きながらプルプルと肩を震わせている。


「ははっ、ひぃ…!むりぃ、」


「こっちに大ダメージ!!」


 次の瞬間、こちらに聞こえるほどの轟音がして、画面の中を波のような氷が覆った。


「相変わらずぶっぱが強ぇ!!ズルイ!」


「でも視界遮っちゃう氷塊じゃないよ。改良しとる」


 確かに麗日の言うとおり、壁のような氷では無い。だが。


「改良してても変化はしてないなぁ」


「名前さん?落ち着いたの?」


 「うん」と言う名前はもう笑ってはいない。緑谷はノートに走らせていたペンを止め、顔を上げた。「どゆこと?」と麗日が言う。


「ほら、さっき骨抜?も言ってたでしょ。火攻め。鉄哲が何度まで耐えられるのかは分かんないけど、ある程度しか下がらない氷よりは鉄には有効だろうしネ。死なない程度に溶かせばいいのにと思って。他の人は炙り出したところで隙突くとか分断させて削るとかできるでしょ?使い方が大振りだからって相手の動きを誘えないわけじゃ無い」


 名前の指摘は最もだった。A組は知らず知らずのうちに氷を優先することを疑問視しなかったのだ。


「たしかに」


「でもエグい」


「轟中心で攻めるのは互いに想定内。なら、そう易々とは固めさせてくれないよネ」


 現に地面を柔化され、誰1人として捕まっていないどころか尾白は回原と飯田は骨抜と角取は障子との戦闘に入っている。これでは作戦も何もあったものではない。


「な、なるほど」


 緑谷がそれをノートに書き込む。


「開戦一番に氷ってのが癖になってるのかな」

 
 轟がもっと個性を細やかに使えるようになればもっと強くなれるのに、名前は口にしないまでもそう思った。頭の中に氷像を作る轟が思い浮かぶ。


「(それはもう別の個性になるか…?)」


 磨くことは出来てもその個性の範疇からは出られない。当たり前であり、自分にとっては当たり前かどうかもよく分から無いそれを不思議に思いながら名前は「だから柔軟な発想がいるのだろう」と画面の中の骨抜と飯田に目をやった。


『レシプロって時限だろ?開幕使用は良くなくね?じゃ、俺鉄哲の加勢行くから』


『時限?いつの話だマッドマン!インゲニウムはいつでもどこへでも駆けつける。その為の脚!!俺はもう!ずっと!フルスロットルだ!!』


『新技、レシプロ…ターボ!!!』


 地面に埋められ、固まりながらも飯田が走り出す。地面を砕き、氷を砕き、そして氷上を滑るように飯田は走り出した。だが、それは今までに見たことがないくらいのスピードだった。


「レシプロターボ…!グラントリノよりも断然速い」


 確かに、スピードで並ぶものはそうはいないようなほどに速い。だがそれ故に軌道は直線となる。人間の動体視力の限界。きっと、自分自身でも制御できないのだろう。とどめの一撃となるかは運も関わる、そんな印象だった。


『レシプロの馬力を底上げし、尚且つかかる燃費は最小限に!!10分だ!!10分!誰も俺を止められない!!』


『結局、新技で初見殺しかよ!』


『ただし!速すぎてーーー制御しきれない!!』


「お前がシュートスタイルとか言い出したから飯田がんばってアイデンティティ取り戻したんだぞ」


「また蹴り教えてもらわなきゃ」


 峰田の失礼な言葉に緑谷が返す。すると芦戸が「あ!」と声を上げた。


「それより見て!!尾白がーーー」


「普通に戦ってる!!」


「普通に押され気味だが尾白だって今までの尾白じゃねぇ、ガンバレ!!」


「そのまま普通に勝てー」


 普通を連呼するのは瀬呂、耳郎、名前。そのせいか生身の体で回原のドリルをいなす尾白に謎の痛みが襲った。


『そらよっーー』


 四肢を回転させ、最後の一撃とばかりに腕を振りかぶった回原。だが、別の人物が尾白の境地を救う。


『飯田!!!』


『回原くんを牢に入れる!!しばし離脱するがすぐ戻る!尾白くんは轟くんの加勢に!!骨抜きくんも恐らく向かってる!すぐ戻る!!』


 フルアーマーの体に回転は通らない。骨抜を追うのをやめた飯田はレシプロターボのまま回原を掴み、牢へと駆けた。


『鉄哲!轟を捕らえて逃がさない!!圧倒的な近接に範囲攻撃も出す暇なし!!』


 カメラが移動し、轟と鉄哲を映す。すでに角取、障子の姿は無く、熱の効かない鉄哲へ轟が炎を放つ。だが、意味は無く、鉄哲は轟を得意の近接で攻めていく。


『―――退け。溶けちまうぞ』


 映像がブレる。火だ。熱い炎が。今まで見たことがないほどの炎が一瞬で氷を溶かし、カメラを壊す。名前はその姿を見たことがあるような気がした。


「(ああ…この前の)」


 エンデヴァーだ。彼の父であるエンデヴァーの能無を焼いた技。だが、揺れる空気の範囲を見るに、エンデヴァーよりも火力が高い。氷を扱える轟は自分の体温を下げる事ができるからこその無茶。でも、きっとあれは長くは持たない。今出来る轟の全力の技。そんな轟が拳を握った。背中に期待と興奮が走る。


「ああ、良いなぁ。どんどん強くなる」


「やべ、名前がバーサーカーしてるぞ。皆気をつけろ」


 だが、それを見ることは叶わなかった。


『鉄哲溶けちゃうよ』


 足元を柔化した骨抜が熱の影響の無い地面から体を出す。付近のパイプが支えを失い、轟の後頭部に倒れ落ちた。


『今度は!!外さないぞマッドマン!!』


 骨抜の後頭部を飯田が蹴る。朦朧とする骨抜、既に限界な鉄哲。2人の確保を諦め、飯田が離れる。だが、B組が勝つ為には轟の再起は最も阻止しなければならない。


『鉄哲、これ押せ!』


 骨抜が塔の一つを柔化し、鉄哲が最後の力を振り絞り、頭突きをする。柔らかな塔は走る飯田と轟に向かって倒れた。


 ドドドド


『これは…!全員――…ダウン!!!!?』


 骨抜の執念が届いた。塔は飯田の上に倒れ込み、動きを塞いでいる。


『一気に4名ダウン!!しかしまだ!”牢に入る”までは戦線離脱にはならないぞ!どうなる!!』


 飯田の指がぴくりと動いた。


『飯田、意識はあるが動けないかーーーーー!?地味に回原の暴れが効いたと見ている!!俺は!!投獄直前まで抵抗し彼の足止めに尽力していた!いいぞ回原!おまえがMVPだ回原!!』


「偏向実況に拍車が掛かってるブラド先生!!」


「ブラドさん溺愛だなぁ」

 
 既に尾白は投獄され、1対1。互いに負けられないA組、B組。その結果は意外なものだった。


『第3試合!!引き分け!!!』


 角取がメンバーを抱え、障子から逃れるために上空へと上がり、試合は引き分けとなった。


『よしでは第4セット準備をーーー…』


『位置についたら始めるぞ!第4セットスタートだ!』


 第4試合は爆豪、佐藤、瀬呂、耳郎。そしてB組凡戸固次郎、泡瀬洋雪、鎌切尖、取蔭切奈。


『さて第4セット!!A―B共に1勝1分け。現在両者互角のように思えるがぁあ!?しかしA組の1勝はほぼ心操のおかげ!!はたして互角と呼べるのか!』


「酷い言い方だぜブラド先生!!」


 ブラドキングに青山や常闇、切島、上鳴が抗議しに行く。が、それを止めたのは意外なことに相澤だった。


「現場で失敗しても同じ事をするか?B組の方がより深く対策を講じてる。これが事実だ。俺よりブラドの方が上手だったようだ」


 そう言われ、誰も何も言えなくなる。自分たちの不甲斐なさでお世話になっている相澤を落ち込ませるなんて正直、怒られるよりもキツい。わざとだとしても何も言えない。まだ直接攻められる方がいいほどだ。しかも噛みつこうとしたメンツの大半は投獄されたか負けたメンバーである。


「せんせー、いじわるだよネ」


 座る名前が膝に肘を付けたまま言う。4人は内心、それに激しく同意した。


「「「「(それな)」」」」


 第4試合が始まり、爆豪を先頭に4人が固まって動く。当然、索敵を有するA組に対し、B組が行うのは一つ。音で索敵する耳郎に仕掛けたのは戸蔭だった。体を細かく分け、それでパイプを叩くことで音を分散させ、索敵を妨害する。

 さらに残った細かいパーツが爆豪へと攻撃を加えた。ダメージは高くないが、爆豪の集中を切らすには十分な威力のそれ。その攻撃を回避する為に瀬呂が辺りにテープを張るが、今度はそれを見越していたB組がパイプ上から接着剤のようなものを落とした。そして残った鎌切がパイプを切りさき、接着剤の付いたパイプの破片で4人の確保にかかる。


『せめて2人はーーーー!!』


 だが、爆豪がそれを一挙に吹き飛ばした。


『まず1番めんどい耳郎から』


「ん?」


 耳郎を狙う鎌切。それを防いだのは意外な人物だった。


「爆豪?」


 首を傾ける名前。不思議に思ったのは彼女だけじゃない。


「あっれぇ、僕の目が変なのかなァ?彼耳郎さんを庇ったように見えたなァ」


「庇ってたな!足蹴で!」


「キャラを変えたっていうのか!!」


 同じクラスでも驚く爆豪の行動。


『決めてンだよ俺ァ!勝負は必ず完全勝利!4-0!これが本当に強ェ奴の”勝利”だろ!』


 仕切り直す為に距離を離すB組チームを爆豪が追う。だが、1人、その場に潜んでいた。


「音立てずに潜んでたのか!また逆手に…!」


 泡瀬が壁との隙間に爆豪を個性で固定させ、離れようとする。すぐさま砂藤が接着物を破壊し、爆豪がさらに進む。残った泡瀬を狩るのは固定された爆豪では無く、耳郎と瀬呂だった。そして凡戸を爆豪が爆破し、落ちたところを砂藤が確保。爆豪らしくない連携プレイに名前は驚くではなく、疑問を持った。


『―――……なんという迅速な連携…!!一瞬で俺の可愛い二人を確保!!』


 鎌切を掴み、爆破の勢いと共に壁にぶつける爆豪。そしてさらに空中で上半身を戻した戸蔭の目前で閃光弾を放った。


『わずか5分たらず…!!思わぬチームワークでA組4−0の勝利だ!!』


「必要以上の損壊も出さず補足からの確保も迅速。機動力・戦闘力に優れた爆豪を軸に3人ともよく合わせた」


 相澤も特に言うことなし。そして変化した爆豪と共に4人が戻る。緑谷もオールマイトもすれ違って、爆豪の視線が名前を捉えた。


「完全勝利だ。…俺ァ強ェ。テメェよりも」


 闘志に溢れた爆豪の目。


「そうかな?」


 挑むかのようなその視線を真っ直ぐに受けた名前は自信を滲ませるように目を細め、笑った。


「あーあ、ばくごーがいい子ちゃんになっちゃった」


「ああ!!!?文句あんのかテメェ!!!」


「褒めてるヨ。多分ネ」



 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 第5試合が始まる。芦戸、麗日、緑谷、峰田の4人と心操を含めた物間、小大、庄田、柳のB組5人チームだ。


『第五セット目!!準備はいいか!?気を抜かずに頑張れよーーー!!スタートだ!』


 最も機動力のある緑谷を先達に後ろを三人がついていく。


「緑谷くん達のフォーメーション。第4セットの爆豪くんたちと似てるな」


「バランスも似てるからなー。ただ索敵係がいない分、俺らよりも慎重に動かないとすぐやられそう」


 飯田に瀬呂が返す。だが、先ほどの試合を見た後で向こうがそれを予想してこないわけがない。が、人数差はB組が。そしてそこには心理戦に長けた2人がいる。


「別れるのは愚策だったかも?」


『キャア』


 口を動かしていない麗日の声が聞こえる。どこまでもヒーローである緑谷にとって心操、物間は強敵だ。


『彼の友人なら教えてよ。爆豪くんさ!何故彼は平然と笑ってられるんだ?平和の象徴を終わらせた張本人がさァ!!』


 腕を前に、デコピンの手にした緑谷。


『え』


 小さく入った音が名前の耳に届く。そして、技ではなく、出たのは黒い何か。それが緑谷の体を覆う。だが、相澤も爆豪もクラスメイトも止めようとはしない。新技か?と皆の考えを代行するように砂藤が言った。

 名前が徐に手を上げる。そして、ピンっと画面を指した。


「先生、あれ緑谷制御できてないよ」


 黒い何かが緑谷の意図した動き以外の動きを取り、辺りにへばりつく。そしてパイプの下で緑谷はうずくまった。そこでオールマイトが現れる。


「相澤くんブラド、止めた方がいい、おかしいぞ!」


 緑谷と何らかの関わりがあるオールマイトと野生的な勘に長けた名前の言葉。それらは相澤に非常事態であることを知らせる。


「行きます」


 3人の教師が走り出す。だが、画面の中の黒い何かは渦のように緑谷を取り巻いた。果敢にも麗日が止めに入るが、それでも止まる様子はない。


『心操くん!!洗脳を!!デクくん止めてあげて!!』


 敵チームへの懇願。それは今、勝負どころでは無いことを示している。そして、心操はそれに応えた。


『緑谷ァ!!俺と戦おうぜ』


『んんんんおお、応!!!』


 そしてすぐに心操の洗脳で動きを止める緑谷を麗日がビンタする。予想外の出来事に試合どころではなくなったが、とはいえ、まだ終わってはいない。物間が隙をつき、攻撃を仕掛ける。だが、これで両者共に作戦は無くなってしまったようなもの。両チームが同じ場所に集まり、乱戦が始まる。


『ツインインパクト』


 教師達が向かって数分。いまだ戦闘が続行されてるところを見るに教師達は戦闘を継続させることにしたらしい。心操の個性で止められたのなら相澤のでも止められる。そういう判断なのだろう。芦戸に向かって飛んだ庄田の攻撃を峰田が弾く。そして、その峰田を芦戸が弾き、壁にあったモギモギとの間でまるでスーパーボールのように跳ね返る。


「峰田たち人数不利の中善戦してるな!」


「懐に入れば芦戸の間合いだぜ」


 興奮したような上鳴と切島とは違い、近接の少ないBチームにB組が心配の声を漏らす。その頃、別のカメラでは物間を麗日が確保し、緑谷が心操と取っ組み合っていた。


「再戦だ」


『あの時の俺とは違うぞ緑谷!!』


 だが、緑谷が先ほどの黒い何かを出し、心操が下がる。今度は暴走している様子はないが、持続することは出来ないらしく、一瞬で消えてしまった。逃げる心操を緑谷が追う。


『慣れてしまえば捉え易い!人は動ける恵体と僕を呼ぶ!』


 峰田が捕まり、芦戸も攻撃を受ける。B組が逆転を感じたその時、麗日が柳を気絶させ、すかさず小大をそばにあったもぎもぎにくっつけた。それに気を取られた庄田を芦戸がアッパーで落とし、緑谷が心操を捕獲。


『第5セット!なんだか危険な場面もあったけど4−0でA組の勝利よ!!!』


『戻ってきたら休憩挟んで第6試合のくじ引きするわよ!!』




prev / next

[ back to top ]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -