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いつも通り学校を終えたある日。自分の部屋の扉の前で名前はふとそのドアノブに小さな紙袋が掛かっているのに気付いた。
「んー?」
一緒に帰ってきた八百万と蛙吹が声に気付き、部屋に入らずに後ろからひょっこりと顔を出す。そして、不思議そうな顔を浮かべる名前の代わりに袋のロゴを見た。
「この袋は…有名ブランドのものですわね。どなたかのプレゼントでしょうか?」
「心当たりは無いの?名前ちゃん」
「無い、かなぁ」
「部外者ではないと思うけれど、念のため何人かで確認した方が良いんじゃないかしら」
「そうですわね」
そうして自室に入ることなく共有スペースに戻った三人。そこには丁度、談笑中だった芦戸や麗日、葉隠、耳郎の姿があった。
「あーー!!」
エレベーターから降りた名前の手元にいち早く気付いた芦戸が声を上げる。
「なになにそれプレゼント!!?ファン!!?めっちゃ高いやつだよそれ!!」
「そうなの?」
「高校生にはキビシイ!!」
「へー」
「キョウミナシ!!」
時間をかけていてもしょうがない。名前は早速とばかりに中に入っていた小さめの箱を取り出し、乱雑にラッピングを外した。するとその手元から一枚のメッセージが落ちる。そして、黒い箱が現れた。
『仮免許取得おめでとう』
さらりと書き綴られた文字。名前はない。
「キザね」
ボタンを押せば、箱が開く。中にはネックレスが入っていた。柳の葉のような飾りが真ん中に付いているシンプルなプラチナのネックレス。
「わぁ、オッシャレー!!」
「特に危険はなさそうですわね」
「付けてくれる?」
「良いわよ」
胸の上に落ちる。チェーンは少し長め。これはきっと羽だ。名前は心臓の上あたりで輝くそれを見て、そう思った。
「心当たりがありましたの?」
「見てからね。伝書鳩になってくれた常闇にお礼言わなきゃ」
「へ?常闇くん?何で?」
不思議そうな葉隠が言う。名前は隠すことなく理由を答えた。
「常闇の知り合いがくれたの」
「やっぱり…ホークス!!?」
「気付いちゃった!!」と言わんばかりの芦戸。
「前に見せたゴシップ誌の色白美人は貴様だったんかー?どうなのどうなのー??」
それに乗るように葉隠が続けた。
「んー?前に言ったじゃん。そんな特徴の女いっぱい居るって」
「ガードが硬いなー!!」
あとがき
男から女へのネックレスのプレゼントには「側にいたい」とか「貴方を心から想ってる」って意味があるらしい。
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