第1話2/4
日差しが眩しい窓際。
1人の女性がうたた寝をしていた。
「スゥ…スゥ…」
「先生、お茶が入りましたよ。…先生?」
「先生が寝ている確率、93.4%。」
「せっかく先生の好きなミルクティー淹れたのに。」
幸村は小さくため息をついた。
「昨日、遅くまで資料に目を通していたからな。あまり寝ていないんだろう。」
柳はそっとタオルケットを掛けた。
この2人は助手である。
「うーん…」
この女性の。
「あれ…?私寝てた?」
「ええ、20分ほど。」
「ふわぁ…暖かい日差しに誘われちゃった。」
咲原米紅は柔らかく笑った。
米紅は探偵業を営んでいる。
近所の人には迷探偵さんと呼ばれていて、けっこう有名だ。
それでも探偵業を続けられるのは助手の2人が優秀だからだろう。
「っとこの匂いは。」
「ミルクティー淹れましたよ。」
幸村はカップを差し出した。
「ありがとう。」
ほのぼのとした、探偵事務所。
そんなのんびりとした雰囲気は長くは続かない。
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