第3話3/3
コンコン。
「失礼します。」
署長は署長室のイスに座っていた。
「やあ、咲原くんか。来ると思っていたよ。」
「依頼人みたいなものですからね、署長さんも。」
「いかにも。…柳君と幸村君も久しぶりだね。咲原くんの助手は大変だろう?」
「そんなことありませんよ。パターンに当てはまらないのは面白いですからね。」
「性格もいたって変わっていますし。」
柳、幸村はそんなことを口にする。
「誉めてるの、それ。」
「「俺たちにとっては。」」
「いやー、本当に面白い。私も君の事務所に入りたいくらいだよ。」
署長と米紅たちは怪事件でよく出くわすので、知り合いだ。
以前、署長は警察ができることと、自営業の探偵ができることは違うと言っていた。
そんなものわかりが良くて頭のいい署長は、何か不都合があった時、米紅たちに依頼してくる。
大切なのは事件を解決することなのだ、と。
「冗談はおいて…で、何故ですか?」
「何故?私は君たちの能力を信頼しているからね。」
「いえ、そういうことではなく…先ほど、この事件の警備担当が騒いでいました。警察が担当する事件を何故私にも頼んだんですか?」
「もうあの人たちに聞いたのかね?」
「会ってはいませんが。めったに無理とか言わない人たちが無理だと騒いでいたら、この事件と関係あると考えて良いでしょう?」
「ふむ…1つの理由として、警察がすべて君たちに任せたらマスコミが黙っていないからね。しかし、警察だけで解決できる問題でもない。だから共同という形をとったのだよ。」
「世間体を気にしたわけですね。」
「それだけではない。あの人たちは優秀な警察官だ。君も知っているだろう?」
「それはもちろんです。」
「先生は先ほどの人たちと知り合いですか?」
柳が驚いたように聞く。
「うん。」
その言葉に、柳も幸村も驚いていた。
「おや、君たちは知らないのかね?」
「「はい…」」
「なら、会っていくといい。君たちに負けず劣らず個性的だからね。」
署長の言葉に3人は複雑な思いをする。
「打ち合わせも直接会ってしてほしい。」
「わかりました。」
3人は丁寧にお辞儀をして、署長室を出た。
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