第2話2/3


「2つの影についてちょっと。」



「あれは赤也君の見間違いじゃないんですか?」



「いや、なんとなく気になってね。探偵の勘ってやつ?」



米紅は新聞を広げてある記事を指差す。



「この記事。」



だれかが想像して描いたであろう怪盗仁王のイラストが載っている。



文字は英語で書かれていて、アメリカの新聞だった。



「先生って英字新聞読めたんですか?」



柳が意外そうに聞く。



「一般人レベルだよ。辞書引き引き読んだんだから。」



柳はその新聞を手に取り、スラスラ日本語訳をしていく。



「今日の午後8時、大富豪、テリー氏の自宅に怪盗仁王が現れた。やつは五千万相当のダイヤモンドのネックレスを盗み出し、華麗に脱出。――しかし同時刻、50kmも離れたトーマス氏の自宅にも怪盗仁王が侵入。こちらも五千万円相当のプラチナの皿を盗み出し、脱出。怪盗仁王は人間ではなく、分身ができるのだろうか。」



摩訶不思議な記事を読んで、3人は同時にため息をつく。



「これが2つの影の正体なんですかね。」



「この記事しかないけどね。でも、私は赤也君の言葉を信じるよ。」



「では、先生は怪盗仁王が分身すると思っているんですか?」



幸村の言葉に米紅は少し苦笑する。



「分身するとは思ってないよ。ただ、パートナーがいると考えてる。」



「「パートナー?」」



柳と幸村の言葉がハモった。



「人間は分身なんてできないよ。それなら、双子なりそっくりさんなりいたほうが現実的だもの。ううん、別に似てる必要はないね。顔まで知ってる人はいないんだから。」



「要するに、目立つ髪や、服装をして怪盗仁王のフリをしていると?」



柳がそう聞くと米紅は頷いた。



「有り得ない話ではないですが…」



「幸村君は何かわかった?」



あ、はいと答え、メモ紙を取り出す。



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