幸せの道第9話4/4
あと5cmでぴたりと止まった。
『ん…?』
「やっぱりまだダメだ。」
若くんはスッと顔を遠ざけ、肩から手を退けた。
「忍足さんとどのくらい付き合ってたんだ。」
『え?2ヵ月だけど…』
「2ヵ月過ぎたらその時は…続きをしてやる。」
若くんは耳元で囁いた。
冷静に考えて、さっきの距離を思い出したら、体が熱くなるのを感じた。
「顔、赤いな。」
若くんは意地悪そうな笑顔を浮かべていた。
『か、からったの!?』
「半分な。」
若くんのほうが一枚上手だった。
さっきまで赤い顔してたのに、今は涼しそうな顔をしている。
いや、どちらかと言えば楽しそう。
「安心しろ。さっき言ったことは本当だ。」
『何で…2ヵ月過ぎたら、なの?』
「今のところ忍足さんと付き合ってた期間のほうが長い。今はまだ、忍足さんに負けてる。忍足さんに勝った時、その時は俺のしたいようにしようと思った。」
『そっか…じゃあ待ってるね。』
「事故でもなんでも、他のやつに奪われないようにしろよ。」
『私は心配ないけど…若くんのほうが心配じゃない?ファンとかいるじゃん。』
「ファン?別に近づいたりしない。それに俺はお前としかしたくないからな。」
…
若くんには、かなわないや。
『今度、一緒にどこか出かけようね。』
照れ隠しのつもりで話題を変えた。
「そうだな。」
『遊園地がいいな。』
「お前がそこを選んでくるとは…俺は歓迎するがな。」
『ん?』
「お化け屋敷、入ろうな。」
!?
やってしまった!
『お化け屋敷は止めよ?』
「お前が遊園地がいいって言ったんだぞ。」
『…ごめんなさい。』
私たちは次の日曜日、遊園地に行く約束をした。
私が望んだ幸せの道。
あなたと一緒に歩いていくことを誓った。
いつまでもいつまでも。
一緒にこの道を歩いていこうね。
fin
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