幸せの道第8話3/4
私たちは人気のない道を歩いていた。
「嬢ちゃん、話って?」
私は足を止めた。
『侑士さんに、伝えようと思って。』
侑士さんも足を止め、私たちは向かい合った。
『侑士さんにはすごい迷惑かけてばかりで…私、何も恩返しできてませんよね。』
「そないなことないで。俺は自分と一緒に過ごせただけで十分や。」
『そんな…だけど私』
「大丈夫、言わんでもええ。嬢ちゃんが選ぶべきは俺やない。」
『…ごめんなさい。それと今までありがとうございました。』
私は深く頭を下げた。
「仲直りせぇへん?」
突然の言葉に驚いて、私は勢いよく顔を上げた。
『私、ケンカしてたつもりは…』
「俺もないで。でも仲直りって文字通りにいけば、仲が直ることやろ?俺たちにとっての正常な関係、友達に戻るちゅーことや。」
侑士さんは手を差し出してきた。
「俺たち式仲直り握手や。してくれるか?」
私は手をじーっと見たあと、そっと握手した。
何度もつないだ手。
私を何度も支えてくれた手。
私は忘れないようにしようと思った。
「これで仲直りやな。」
侑士さんは微笑んで、頑張りぃと言って歩いていった。
私もある家に向けて歩き出した。
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