幸せの道第7話1/5
曇っていて雨が降りそうな、嫌な天気が続いていた。
いつ降ってきてもおかしくない空の下で、友紀は忍足を待っていた。
たった今までは。
¨俺、急用ができてしまってん。先帰っててええで。¨
そんなメールが届いた。
一週間ぶりに忍足と帰れる日だったのだが、急用だったら仕方ないと友紀は思った。
どんよりとしている空を見上げて、1つため息をつくと歩き出した。
「友紀!」
門を出ようとした時、誰かに話しかけられた。
それは友紀が一番会いたくなくて、一番会いたい人。
「今日は1人で帰るのか?」
日吉は走ってきたようで、少し息をきらしていた。
『そうだけど。』
友紀は自分の言葉が思ったよりも冷たくなってしまったことに驚いたが、日吉は気にしなかった。
「たまには一緒に帰らないか?」
その言葉にすぐ返事をすることが出来なかった。
「俺と帰るのは嫌か?」
『ううん、いいよ。』
忍足なら、日吉のことは幼なじみとわかっている。
それなら帰ってもいいんじゃないか。
そう思った友紀は、日吉と帰ることにした。
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