幸せの道第6話3/5


「来たか…」



俺は人気のない、体育館の裏側にいた。



ある人を待っていた。



¨お話があります。授業が終わり次第、体育館に来てください。Y.O¨



そんな手紙を今では古典的だろうか、下駄箱に入れておいた。



「こんにちは。」



「けっこう律儀なんやな、日吉。あんな手紙で来てくれるなんて。」



日吉はスタスタと歩いてきた。



「女子やなくて残念やったろ。」



「いえ。俺は忍足さんだってわかったので来たまでです。」



「イニシャルでわかったって言うんか?」



「違います。忍足さんが俺の下駄箱に手紙を入れてるところを見たんで。」



「おもろないなぁ。」



見てたんなら話しかけてくれたら良かったのに。



「面白くなくてけっこうです。それより早く用件を言ってください。」



「せっかちやな。そんなに俺といるんが嫌なんか?」



「そうです。」



即答はひどいやろ、と言って苦笑いしていたら、また、日吉は早くしてくださいと言った。



「…友紀のことやねん。」



そう言うと日吉の表情が少し変わった。



必死で何かを隠してるように見える。



「ノロケ話なら他をあたってください。」



「ちゃうって。俺、自分で自分が友紀のこと好きなのかわからんようになってきたんや。」



「何を、言ってるんですか?」



「俺にとって友紀は何なのか。どない思う、日吉。」



日吉はうつむいた。



「そんなこと何で俺に聞くんですか。」



「だって、お前のほうが友紀のこと好きやろ。」



「!!俺は」



バッと顔をあげた日吉の表情はなんとも言えないような表情だった。



悲しみと怒りと驚きとが混ざっているような。



「俺は確かにあいつが好きです。認めます。でも、それを今言ったところでどうにもなりません。」



「そうでもないかもしれんで。案外、上手くいくかもしれへん。」



「忍足さん、自分で何を言ってるのかわかってるんですか?友紀はあなたの彼女なんですよ。」



そう言った日吉の表情は歪む。



日吉は一番その事実を認めたくないらしい。



「二度とそんなことを言わないでください。」



クスッ。



「自分ここまで言ってわからへんの?」



これは俺の得意分野だ。



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