幸せの道第3話4/5
「どないしたん?」
忍足は友紀が近づく前に自分から近寄った。
「あ、忍足さん。どうも。」
「自分、もしかして傘忘れたんか?」
「…そうですけど。」
『えっ忘れたの?』
「朝練の時は降ってなかったんだ。」
『私の傘入ってく?』
驚いたのは日吉だけではなかった。
「あ、いや、友紀に入れさすわけには…俺の傘に入ってくか?」
「忍足さんのは遠慮させていただきます。男と一本の傘に入りたくないので。」
『じゃあどうするの?』
「走って帰る。」
『だって濡れちゃうよ。風邪ひいたら部活に影響出ちゃうよ。』
「いや、でも…」
日吉はチラッと忍足を見る。
日吉は忍足が友紀の傘に入ってほしくないことは感じとっていた。
同時に友紀がひいてはくれないだろうということも。
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