幸せの道第3話3/5
とある雨の日。
「友紀、今日ミーティングだけなんや、すぐ帰れるから待っててな。」
『はい。』
友紀は生徒玄関で忍足を待っていた。
(雨けっこう降ってるな。)
なんて思いながら。
「待っててくれてありがとさん。終わったで。」
ひょいと忍足が来た。
『あ、いえ。そんなに待ってませんよ。』
友紀は手に持っていた傘を広げる。
「さ、行こか。」
友紀と忍足が一緒に帰るのはこれが久しぶりだったりする。
最初こそ友紀は部活が終わるのを待っていたもの、遅くなってしまうと忍足は心配した。
友紀も忍足が心配してくれているのだから、とその気遣いを受け入れた。
オフの日とミーティングだけの日は一緒に帰る約束をして。
「今日な、ちょうど…」
そこまで言った後、忍足は立ち止まった。
友紀が立ち止まったからだ。
「お、日吉やん。」
さも自分で気づいたかのように振る舞った。
悔しかったのだ。
友紀が自分の話より日吉を気にしたことが。
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