その中の1人/鳳5/8
「私、いつも鳳くんに助けてもらってばかりだから、鳳くんが困ったことがあったら良かったら言って。私にできることなら力になりたいから。」
これが今私が言える最大限だった。
「ありがとう。」
そう答えた鳳くんはどこか寂しいそうな笑顔だった。
「…じゃあ、俺の話、聞いてもらおうかな。」
私はうなずく。
「俺、1年生の頃から好きな女の子がいるんだ。」
私はその言葉を聞いたとき、半分驚き、半分やっぱりと思った。
「それで今日こそはと思って告白したら、自分には好きな人がいる、って。」
だからさっき泣いていたんだ。
「その子が最後に憧れと好きは違うって言ってたんだ。」
「憧れと好き?」
意味が違うことは私でもわかった。でもそれと鳳くんとどんな関係があるのだろう。
「俺にはその言葉の意味はわからない。それでもいいのかな?」
「私にもわかりません。でもきっとわかるときが来ますよ。」
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