君の為の嘘/宍戸6/9
俺はしばらく米紅の言葉とあの笑顔のことばかり考えていた。
「宍戸さん最近元気ないですね。」
長太郎に心配されてしまった。
「ちょっとな…」
「なんや、いつもはっきりしてる宍戸にしては珍しく歯切れが悪そうやな。」
いきなり忍足が会話に入ってきた。
「忍足には関係ねぇよ。」
「ひどいわぁ。自分、咲原みたいやな。幼なじみやからって同じ態度とらんで欲しいわ。」
「米紅?あいつも俺と同じ?」
「そやで。気落ちしとるみたいやったからどないしたんって聞いたら忍足くんには関係ないから言うてどっか行ってしもうたんや。いつもならそないなこと言わんのに。」
「……あいつは。」
彼氏ができたはずなのにちっとも嬉しそうじゃない?
いったいどうなってるんだ。
「2人でケンカでもしたんか?だったら早よう謝ったほうがええで?」
ケンカのほうがまだらくだ。
「俺、良かったら協力しますよ?」
「…ありがとな、長太郎。」
この違和感は自分で確かめよう―――――
その日の夜。俺は米紅にメールをした。
¨明日の放課後、屋上に来てくれ¨
その日のうちにメールがかえってくることはなかった。
- 37 -
[*前] | [次#]
ページ: