私と同じ/向日2/7


人はいなくて、唯一頼りである職員室は教室から遠い。



(氷帝って無駄に広いな…)



いつもならそんなことを思ったりはしないのに、今日はそんなことを考えた。



キィー…キィー…



風がどこかのドアをゆらしている。



(確か明日台風が来るんだよなぁ。)



怖い雰囲気をはねかえそうと別のことを考えてみる。



(学校休みかもな…)



そこでふと疑問に思った。



(こんなに俺、歩くの遅かったか?)



まるで誰かに引っ張られて歩くのを邪魔されているかのよう―――



(まさか。俺、ビビり過ぎなのかもな。)



心理的なものだと考えて、とりあえず深呼吸をしてみる。



(…よし、行くか。)



心なしか一歩がさっきより軽い気がする。




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