合宿
04 桜乃Side


マネージャー経験は無いけど、高校でも女子テニス部に入部したから、何をサポートすれば良いのか分かる。
ということで、手塚先輩に「合宿でマネージャーとして手伝ってほしい」と誘われた。
堀尾君、加藤君、水野君も参加するし、”女子1人では心配だから”と親友の朋ちゃんも誘われたから、引き受けることにした。
男子テニス部のレギュラーの人達とは中学の頃からの仲だから、男の人で先輩とはいえ、不安に思うことはない。
だけど、他校の男子テニス部のレギュラーと合同だから、その人達と問題無くやっていけるかは心配だった。

四天宝寺では、年上の女の人が2人、合宿の間だけマネージャーとして参加すると乾先輩から聞いた。
女の人が増えたというだけで、安心感を覚える。仲良くなれると良いなあ。
実際、四天宝寺の男子テニス部の人達に混ざって歩いて来た女の人2人の顔を見て、安心した。良い人そう。



「あの! あたし小坂田朋香っていいます! 青学1年です!」



と、朋ちゃーん!?
隣に居た朋ちゃんが、いつの間にか四天宝寺の女の人2人のところに行っていた。
2人は今まで一氏さんと会話をしていたから、機会を伺っていたのに、朋ちゃんは一氏さんがいようとお構いなしのようだ。
慌てて朋ちゃんを追いかけ、「と、朋ちゃん」と腕を掴むと、朋ちゃんは私を見て「あ、桜乃」と言った。あ、じゃないよ! もう!
2人の女の人は、いきなりの朋ちゃんの自己紹介に動揺しつつも、「よろしくね」と声を揃えて言った。



「私は久々知明。3年ね」
「私は竹谷四葉。同じ3年」
「あ、えっと、1年の竜崎桜乃です」



自己紹介をする流れになってしまった。け、結果オーライ?



「俺は3年の一氏ユウジや」
「あ、知ってるんでいいです」
「なんでやねん! そないな流れやったやろ!」



無慈悲な朋ちゃんの言葉に、一氏さんがツッコミを入れる。……ツッコミって言って良いのかな?
一氏さんの声が聞こえたのか、桃城先輩と海堂先輩の2人と一緒に居る金色さんが「ユウ君! 女の子に怒鳴らんの!」と一氏さんに怒った。
その瞬間、一氏さんはショックを受けたのか「小春かんにーん!」と言いながら、金色さんの方へと行ってしまった。
……前から思ってたけど、四天宝寺の人達ってパワフルだなあ。
あれ? そういえば久々知さんと竹谷さんって、大阪特有の訛りがなかったような気がする。

ちら、と2人を見ると「元気だね」「ほんとにねー」と竹谷さんと久々知さんが会話をしていた。

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