合宿
03 一氏Side


荷物を持ち、集合場所に指定されているグラウンドに行くと、青学の男子テニス部レギュラーが雑談していた。
越前の姿を見つけた金ちゃんが「コシマエー!」と越前の元へダッシュで走り出す。
千歳は千歳で、のほほんとしながら「手塚ー」と手塚の元へ行ってしまった。うちの連中青学好き多いな?
そして小春は「桃尻きゅん! 海堂きゅん!」と言いながら桃城と海堂の元へ行こうとする。待ちぃー!
慌てて腕を掴んで阻止するものの「いやー放してー!」と泣かれてしまった。えっえっ。
それに驚いて手を放すと、小春はすぐに桃城と海堂の元に。こ、小春ぅー!



「うっうっ、なんでや小春……、こんなに愛しとるのに……」
「重いんじゃないかなあ」
「やかましいわ、久々知! 恋を知らん小娘が!」
「え、酷い言われよう」



久々知なんてまだ好きな人できたことないんやろ! 恋は重いほうがええんじゃー!
でも、小春は嬉しそうに海堂の腕に自分の腕を絡めている。
思わず、ばたんっ、と地面に横たわると、久々知が「えっ」と驚きの声を上げる。
顔に手をあててメソメソ泣いていると、近寄ってきた竹谷に「大丈夫?」と声を掛けられた。大丈夫なわけあるかい!



「しんどい、帰りたい」
「元気出しなよ。小春ちゃんも一氏君のこと信頼してるから堂々と浮気できるんだよ」



せやかて竹谷。



「結婚考えとるのに……」



久々知が「重っ」と言う。せやからやかましいっちゅーねん!



「結婚ねえ……。四葉、行き遅れたら結婚しよ」
「うん、良いよ。え、ちょ、待て待て、何言ってんの」



「普通に頷いちゃった」と苦笑しながら言う竹谷。
「誰が公開プロポーズせえ言うたんや!」と怒鳴ると、2人とも「ごめん」と素直に謝った。しかも成功するなや! 泣ける!
「いつ結婚式あげる?」「老後」なんて話す久々知と竹谷の会話を聞きながら、俺は立ち上がった。
久々知と竹谷、2人の肩に自分の肩を回す。ぐいっと引き寄せると、2人とも驚いた表情を見せた。



「お前ら、俺と浮気せえへん?」



その瞬間、同時に爆笑された。なんでや!
竹谷は「なんでそうなる」と笑いながら俺の腕を退け、久々知にいたっては笑いすぎて「お腹痛い」とお腹を抱えてしゃがみ込む。
な、なんでそないに笑うんや! 動揺して聞けば、だって一氏君って小春ちゃん以外ありえないじゃん、と竹谷が。……わ、分かっとるやん。
ほー? なかなか人を見る目があるやないか。せやけど久々知は笑いすぎや。
ぺしっ、と久々知の頭を軽く叩くと、白石と銀さんに「こら」と言われてしまった。ふん!

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テーマ「人外ファンタジー」
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