合宿
02 銀Side


「ついたー!」



合宿所に着き、バスを降りるなり大声を出す金太郎はん。
思いの外敷地が広く、大きな合宿所。これを借りるのって、どのくらいかかるんやろ? 部費大丈夫やろか。
バスの時に隣に座っていた財前が、眠そうに「疲れたー」と呟く声が聞こえてくる。長い道のりやったしなあ。



「ほな見てくるー!」
「こらこら、まだ早いよ」



走り出しそうな金太郎はんの腕を、竹谷はんが掴む。
金太郎はんは「えー!?」と不満そうな表情を浮かべるが、「団体行動」と竹谷はんが言うと、シュンとしながらも大人しくなった。
明らかにテンションが下がっている金太郎はんに、竹谷さんは金太郎はんの耳に顔を寄せ、何かを言った。
ここからでは何を言ったかは分からないが、竹谷はんの言葉に、金太郎はんは「ほんま!?」と満面の笑みになった。
白石はんが、金太郎はんがどこかに行くんじゃないかと心配そうに見ていたが、2人のやり取りに安心した表情を見せる。正に保護者やな。



「よーし、全員降りたな? ほな、他の連中が待っとるかもしれへんから行くでー」



他の連中? オサムちゃんの言葉が引っかかる。合宿にはレギュラーだけって聞いたんやけど……。
ワシと同じように疑問に思ったのか、財前が「他の連中?」と首を傾げた。



「え? 言うたやん、他の学校との合同合宿やーって」



…………。



「な、なんやてぇぇえええ!?」



全員の言葉が重なる。久々知はんと竹谷さんは口を開けてポカンとしているが。
オサムちゃんはワシ等の反応に、目をパチパチさせると、「言うてへんかったっけ?」と首を傾げた。
合同合宿なんて聞いてへん、聞いてへんで、オサムちゃん……!
手を合わせながらも動揺するワシとは反対に、小春はんが頬を赤く染めながら「どこの学校なのん?」とオサムちゃんに聞く。
浮気の匂いを察知したのか、一氏はんが「小春!」と小春はんを牽制するが、聞いていないようだ。

青春学園。氷帝学園。立海大付属高校。

オサムちゃんの口から発せられた学校の名前。比嘉がいないのは、部費の関係上らしい。
木手はんが参加できないことに悔しそうにしていた、とオサムちゃんが言った。木手はんは負けず嫌いやから。
しかし、金太郎はんは”青春学園”という言葉を聞いた瞬間、喜んで飛び回っている。あの越前リョーマがおるからな。



「あかん、部長として守る言うたのに狼だらけやん……! どうやって久々知さんと竹谷さんを守ればええんや……!」



青ざめる白石はん。久々知はんが「いや大丈夫だって」と呆れながら言うが、聞こえていないらしい。

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