第64話


あの後、郭嘉達三國メンバーと別れて忍たま世界に戻ってきた私達。妲己は私達が勝利したことに驚いたけど、私達が生きていることが少し嬉しそうだった。妲己は仙界へと帰ってしまったけれど、太公望殿、酒呑童子、悟空、三蔵様、かぐやは私達と共に忍たま世界に残った。と言っても、残った時間は一日だけ。明日になれば、私達家族も太公望達も、それぞれの世界に帰ってしまう。



「小雪さん、ちょっと来てくれませんか?」
「時間はだいぶ取っちゃいますけど、お願いしますっ!!」



部屋でくつろいでいると乱太郎ときり丸としんベヱが現れた。とりあえず、やる事もないので「良いよ」と返事をする。すると、しんベヱが私の手を取って歩き始めた。何かイベントでもやってくれるのだろうか。わくわくする。




 ***




「あれ? 一年生大集合?」



連れてこられたのは保健室。そこには一年生が勢揃いしていて、私は驚いた。唖然としていると、伝七が「どうぞ」と何かを手渡した。見てみると、白い服のようなもの。でも、なんだか豪華っぽくてどうすれば良いのか戸惑ってしまう。



「これ、どうすんの?」
「着てみてください」
「え、ここで?」
「いえ、あちらで」



庄左ヱ門が指さしたのは、布やら板やらで閉鎖された空間。どうやら、あれは試着室のようなもののようだ。私は一年生達の視線をたくさん受けつつ、試着室に入る。少し狭いが、服は余裕で着れる広さだ。受け取った服を広げてみると、白くフリフリのあるドレスのような服だった。



「……これウエディングドレス……?」



そ、そんな訳ないよね……!! 私は少し焦りつつ、自分が来ていた太公望殿の着物を脱ぎ、白いドレスを着る。後ろのチャックは気合でなんとかした。さすがに皆にやってもらうわけにはいかないし。試着室を出て「こんな感じで良い?」と皆に聞くと、皆は「おお〜っ!!」と声をあげた。えっと……、好評、かな……?



「脱いだ着物は僕達が預かりますね。次は二年生の池田三郎次先輩達の部屋に行ってください」
「え、あ、」



試着したドレスを脱がないまま、私は孫次郎に背中を押されて部屋を出た。一体何がしたかったのか分からないけれど、今は三郎次の部屋に行かなければいけないようだ。




 ***




「お邪魔しまーす……」と恐る恐る三郎次の部屋に入る。部屋の中には二年生達が集合していた。一年生の次は二年生か。私の存在に気づいた四郎兵衛が「小雪さん、待ってましたっ」とほわほわした笑顔で言った。可愛い。



「これ、受け取ってください」



久作に手渡されたのは、白いロンググローブ。
これは、やっぱりウエディングドレスのアレではないのだろうか。私、もしかしたら誰かと結婚するのだろうか。……いや、でも何も言われてないし。ハチ、だとしても、やっぱり話してないし……。もう何がどうなってるかさえ分からず、白いロンググローブを手に付ける。これ私付けれてるよね、大丈夫だよね、ねっ!!?



「さ、次は三年生です」
「富松作兵衛先輩達の部屋へ行ってくださいね」



にこやかに手を振る二年生達。私は「あ、うん」と言いつつ、部屋を出た。




 ***




此処まで来ると、なんだか先が見えてきた気がする。これは私が誰かと結婚する為の準備だ。相手は分からないけれど。「お邪魔します」と一言言って作兵衛の部屋に入る。と、そこには案の定、三年生が全員集合していた。三年生は私の格好を見て「おおっ!!」と驚いた。床についてしまうドレスの裾を上げながら、三年生に近づく。



「凄い!! 凄い凄い凄い!! 綺麗!!」
「あはは、ありがとう、左門」
「では、小雪さん、これ履いてください」



そう言いながら三之助が手渡したのは、白色のハイヒールだった。私は「うん」と返事をし、バランスを取りながらハイヒールを履く。少し背が高くなった。「よくお似合いです」と褒めてくれる藤内に「ありがとう」とお礼を言う。



「次は四年生ですね」
「滝夜叉丸先輩と綾部喜八郎先輩の部屋に行ってください」
「うん」



「行ってらっしゃい」という作兵衛に背中を押され、私は作兵衛の部屋を出た。次は四年生の番ってことかな。

 
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