第43話


「此処が地下部屋だ!!」



かぐやの手を引いた七松は、勢いよく地下部屋の障子を開ける。スパァーンッ、と音をたてて開いた障子。地下部屋の中に、七松がズカズカと入る。手を引かれているかぐやも、七松が進むことによって地下部屋へと入った。それに続き、私達三人も地下部屋へと入る。



「ああ、やっと来たか。だが、罠に嵌まってくれたようで嬉しいy――」
――ゴッ
ごふぁっ!!?



太公望殿が現れた瞬間、思いっきり回し蹴りをかましてやった。



「なーにが”罠に嵌まってくれたようで嬉しいよ”だゴラ」
「ふ、ふふ……、良い蹴りだな……」
「嬉しそうな顔してんじゃねぇよ気持ち悪ぃな」



私と太公望殿の様子に苦笑しながらも、「太公望様、これは何の集まりにございますか?」と部屋の様子を見て言うかぐや。私もかぐやのように部屋の様子を見る。部屋の中には、忍術学園の全生徒が学年ごとに固まって何かを話していた。七松、潮江、食満の3人は既に六年生の輪へ混ざっている。



「イベントをしようと思ってな」



イベント?



「一年は組が、日頃会えない両親の為に何かしたい、と言いだしてな。それなら、ライブをしようかと」
「は? ライブ?」
「学年ごとに歌ってもらうんだ。無論、小雪にも歌ってもらうぞ」
「え、嘘」



思わず口角が引き攣る。太公望殿が「嘘ではない」と言って差し出した紙。その紙を受け取り、内容を読む。その紙にはそれぞれの学年が歌う歌が書かれていた。私の名前を探すと、私の名前が書かれている横には「ハナミズキ」と書かれている。



「知っている歌だから難しくはないだろう?」
「っていうか、歌詞とか全部覚えてるから練習する必要ないんだけど」
「ほう、流石だな。では、私と共に五年生と六年生のダンスの指導にあたってくれ」



へー、五、六年はダンスもやるのか。「行くぞ」と言う太公望殿を筆頭に、かぐやと共に五年生達の元へ向かう。五年生はまず、それぞれの担当を決めているようだ。五年生は輪を作って話しこんでいて入る隙間が無い為、ハチの背中に乗っかかる。五年生は嵐の歌か。なら、一人は決定だな。



「不破は黄色だろ」
「やっぱりそうかな。……って小雪さん!!?」
「(うわーうわーうわー! 胸あたってるぅ―!!)」



驚いている皆に、私は呑気に「やほー」と言う。私の言葉に、尾浜は「雷蔵 黄色」と丁寧な字で紙に書く。余程私が居ることに驚いたのか、久々知が「小雪さん、いつの間に……?」と聞いてきた。「暴君とギンギンと食満留に追いかけられて罠に嵌まったら地下にいたのだよ」と説明すると、「あー…、お疲れ様でした」と苦笑されてしまった。



「俺は赤ね」
「あ、じゃあ俺は青」
「じゃあ俺が紫で、ハチが緑な」



尾浜が赤、久々知が青、鉢屋が紫、ハチが緑と、次々と決めていく。これで色と担当は決定したようだ。



「次は歌だな。つっても、誰がどこを歌うか分かんないなー…」
「そういうことなら小雪、お前がやれ」
「え?」
「得意だろう?」



太公望殿はそういうと、光に身を包んだ。そして、その姿はノートパソコンへと姿を変える。仙人なんでもありか。私は小さく溜め息をつき、ハチから離れてノートパソコン(太公望殿)に向き合う。電源は既に付けられている為、後はインターネットを開いて歌詞とパート分けの検索をするだけ。



「んー…、出だしは尾浜と不破ね」
「出だし頂きましたー!!」
「頂きましたー!!」



お前等可愛いな。とりあえず久々知は豆腐食べるのやめようか。



「小雪ー!! マジLOVE1000%のダンス分かんねぇー!!」
「今行くー!! 太公望殿、後頼む。これ見れば大体分かると思うから」
「ああ」



近くに居たハチの頭をポンポン、と軽く叩いて、お兄ちゃんや六年生達が居る場所へと向かった。



(……っ。 by.ハチ)
(顔真っ赤だな。by.兵助)
(う、うるせっ!! by.ハチ)

 
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