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学園長命令で、四年生と五年生と六年生がきり丸救出へと向かうことになった。そして、その四年生、五年生、六年生は現在、門へと集まっている。私も、皆を見送る為門に居る。けれど、考えるのはきり丸の事ばかり。



「そう不安になるな。きり丸は、私達が必ず救い出す」



立花に、頭を撫でられる。表情は私に優しく微笑んでいる。いつもと違う雰囲気の立花に、私は密かに戸惑った。「死なないでね……」と言うと、「私が死ぬと思うか?」と自信満々に言われてしまった。



「死ぬとは思わないけど……、むしろ死んでも死ななそうだけど……」
「おいコラどういう意味だ。……とにかく、お前は安心して私達の帰りを待っていれば良いんだ」
「うん、分かった……」



と、そこで中在家と話していた七松が「秋奈!!」と私の元へやってきた。返事をしようと思ったら、前から思いっきり抱きついてきた。驚いて「ぬっ!?」と変な声を出してしまった。



「心配するな!! 四年生もいる、五年生もいる。なにより、私達六年生がいる!!」



剥がそうと思ったけれど、そんなことを話し始めた七松に、私は唖然とした。七松は、周りが見えていないようで見ている。だから、私を安心させようとする言葉が出てくるのだ。「これだけ強い奴等が揃ってるんだ。全員、生きて帰る!!」と自信満々に言う七松。立花に、七松に慰められる。何故だろう。なんだか、とても安心できる。



「――…約束、だからね」



いつもならしないが、今回だけは七松の後ろに手をまわす。そして、頭を七松の胸元に擦り付ける。ふと、七松が返事をしなくなったのに気づいた。七松から離れて、七松を見る。



「七松……?」
「小平太、見事に顔が真っ赤だな」
「〜〜っ……」



立花の言うとおり、七松の顔は物凄く赤かった。思わずぎょっとしてしまう。七松は「……あ……う、あ……」と目を泳がせている。そして、「は、反則だぁぁぁああああああああ!!!!」と走って門を出て行ってしまった。今まで話していた皆が、走って行ってしまった七松を見て「小平太ァァア!!?」「七松先輩どこに行くんですか!!?」と驚き焦っている。



「ククッ、あんなことをすれば小平太の身が持たんぞ?」
「え……、やっぱり抱きしめ返すの駄目だった!?」
「いや、むしろ上出来だ」
「……え……?」



立花が何故かニヤニヤしている。私は訳が分からず、少し眉間に皺を寄せる。その時、「仙蔵せんぱーい、行きますよー」と綾部の声が聞こえ、私と立花がそちらを向く。そこには、皆が話し終わったようで、今から出発しようとしていた。「ああ、今行く」と立花が返事をして、皆の元に行く。



「――…皆、気をつけて!! 行ってらっしゃい!!」



私がそう言うと、みんな笑って「行ってきます!!」と声を揃えて言ってくれた。どうか、誰も死ぬことのないように。




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