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事件は、突然起こった。
バイトに行ってしまったきり丸。いつもなら私と土井先生を心配させないように、夕食前には必ず帰ってくる。なのに、まだ帰ってきていない。門の所で待っていても、帰ってくる気配は無い。きり丸に何かあったらどうしよう。凄く不安で仕方がない。……そうだ、乱太郎としんベヱが何か知ってるかもしれない。



「行かなきゃっ……!!」



きり丸達の部屋に来た。しかし、そこには誰もいない。ふと、机の上に何か置いてあるのに気づいた。……チラシだ。チラシを手に取って、内容を読む。
至急アルバイト募集!! お金に困っているあなた!! ニガクリタケ城で働いてみませんか? やることは簡単。ある木箱を運ぶだけ!!
怪しい……。まさか、きり丸はこのバイトに……? ニガクリタケ城って聞いたことないけど、”ある木箱”ってなんだろうか。危険な、物なのかな……。



「……戦の準備をする為に、武器を運んでる、とか……?」



はは……。そんなわけ、ないよね……。きり丸は、大丈夫だよね……。そう思っていても、きっと今の私の顔は青ざめている。こうしてはいられない。私は、部屋を出て土井先生の元へ向かった。




 ***




「――ってわけなんだけど……」



土井先生の部屋には、山田先生もいた。二人が揃えば心強いので、山田先生にも話を聞いてもらった。私の話に、土井先生と山田先生が深刻そうな表情になる。「それは、結構ヤバイかもしれんな……」「そうですね……」と会話をする二人に、私は身を乗り出して「きり丸、大丈夫かな!!?」と聞く。私の問いに、土井先生は目を少し伏せ、山田先生は複雑そうな顔をする。



「だが、まだ決まったわけじゃない。学園長先生に相談しよう」
「……うん」




 ***




三人で、学園長先生に相談した。学園長先生は「なるほど……」と呟く。「お願いします!! きり丸を助けてください!!」と頭を下げる私。私に続いて、土井先生と山田先生も頭を下げる。そんな私達の姿に、学園長先生は「無論、助けるつもりじゃ」と言ってくれた。



「――では、上級生を向かわせる!!」




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