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「――…甘えすぎ、かな……」



昨日は土井先生の前で泣いてしまい、迷惑をかけた。あの後、起きてから「また何かあったら来いよ?」と土井先生に言われた。でも、私はもう17歳だし……、全部自分でなんとかしなくてはいけない時期だ。とりあえず、秀作に任された庭の掃除をやろう。……最近、庭の掃除が多い気がするけど、まあ気にしない。「17歳が泣くなんて、情けないよなー……」なんて呟き、溜め息をつく。この学園は年下が多いんだから、私がしっかりしないと。



「泣くのに歳なんて関係無いんじゃないかな?」



突然声が聞こえて、バッと声のした方を向く。そこには、五年メンバーが私服姿で居た。今の言葉は、声からして尾浜だろう。「なんだなんだ、泣いたのか?」と私の顔を見てニヤニヤしながら聞いてくる鉢屋。そんな鉢屋を、不破が「こら」と肘を突いて注意する。そんな二人を見ていると、尾浜が近づいてきた。その表情はニコニコと笑っている。



「お団子食べたい?」
「食べたい!! あ、でも他にも買ってきてくれても良いのよ!!」
「俺のお金なんだけどなー」



私の言葉に、苦笑しながらそう言う尾浜。



「か、か弱い女の子にお金をたかるの……?」



手を緩いグーにして、口元に添える。そして、眉毛をハの字にし、目を潤ませて斜め45度で相手を見上げる。これぞ、ぶりっ子の真似。目の前にいる五年生達が固まっている。そのうち、鉢屋と竹谷が赤面している。



「うわぁぁああ!! 不覚にもあんなんにときめいた!!!」
「え!? なに!? 女ってアレやれば誰でも可愛くなれるの!!?」
「お前等なにさり気なく人のこと貶してんだよ」



赤面しながら頭を抱えてショックを受けている鉢屋と竹谷。本当失礼なんだが。尾浜、久々知、不破の三人は苦笑している。



「秋奈ちゃんはいつも可愛いのになあ」
「え!? 不破ってば天然タラシ!!」
「お世辞に決まってるでしょっ」
「え、あ、うん、そうだよね!! 私、調子に乗ってたよね!! ごめんね!!」
「勘ちゃんやめたげて!! 秋奈が涙目になってるから!!」



「ぐすん」と涙が少し溜まった目をこする。と、久々知が頭を優しく撫でてくれた。久々知優しい紳士。絶対こいつ女の子にモテてる。あ、そういえば。



「みんな、出かけなくて良いの?」



私の言葉に「あ、そうだった」と久々知が呟く。気を取り直し、「じゃ、行こうか」と不破が良い、歩き出す五年生達。みんな私にと手を振ってくれる。それが嬉しくて、私も「行ってらっしゃい」と手を振り返した。さてさて、私はまだ掃除が残ってるからやらないと。……そうだ、きり丸に今月のお小遣いあげないといけなかった。




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