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こんにちは、皆さん。
今日の仕事も順調に終わりました。今日は、庭の葉っぱを掃除する、というお手伝い。これは吉野先生の仕事だったのだが……、秀作の相変わらずの失敗ぶりに庭の掃除ができなくなった為、私が代わりを引き受けたのだ。
そして、今…――



「秋奈姉は俺の姉ちゃんなんだぞ!!」
「そんなの関係ないじゃないか!!」
「秋奈さんと遊びたいぃー!!」



一年は組の皆に絡まれております。自己紹介をした後、何故か私を取り合い皆が大喧嘩。はっはっは、ハーレムだ。なんて思いつつ、少し離れた場所で皆の様子をうかがう。私の隣には庄左ヱ門と、ナメクジ達と遊んでいる喜三太。



「秋奈さん、ナメクジ触るー?」



首を傾げ、ナメクジを私に渡す喜三太。「え、良いの?」と言いつつも、私はナメクジを受け取った。正直、あまりヌメヌメは好きではないけど……、触れないわけではない。でも喜三太のナメクジだと思うと、なんだか可愛く見えてくる。少し癒されていると、喜三太が「ナメクジ体操始めーっ」と私の手の上にいるナメクジに声をかけた。すると、ナメクジが体操を始めたではないか。



「おお、凄い。頭良いんだね」



私の手の上で、ナメクジが体操をしている。なんてシュールなんだろうか。でも、可愛らしい。ふと庄左ヱ門の視線を感じ「どうした?」と庄左ヱ門に聞くと、庄左ヱ門は「女の人なのにナメクジ触れるんだ」と言った。



「そんなに抵抗はないよ」
「みんなは嫌がるのに、珍しいんだね」
「え、そう?」
「そうそう」



ナメクジとかかたつむりとかは結構触れると思うんだけど。……あ、こういうところが女子力無いのか。とりあえず、体操が終わったナメクジを喜三太に返す。



「じゃ、私は行くね」
「はにゃ? 皆はどうするの?」
「このまま放置?」
「うん、放置。一年は組は、私より皆で仲良く遊んでるほうがお似合いだからねーん」



ニッ、と笑って「じゃあね!」と皆に背中を向けて歩く。庄左ヱ門と喜三太は唖然としていた。ほらほら、二人が皆を止めて「秋奈さん行っちゃったから皆で遊ぼ!」って言わないと。




 ***




適当に散歩をしていると、山田先生を見つけた。しかも、女装姿で。ワオ!!なんで女装してるか分かんないけど、ちょっと話しかけてみようかな!! 「山田先生!!」と声をかけながら山田先生に駆け寄る。山田先生は私に気づいて「あら、秋奈ちゃんじゃないの」と言った。



「あ、今は山田伝子よん」



「うふん」とウインクをするやまd……、伝子さん。ひ、引いてなんかないよ……、決して……。ただ、ちょっと、微妙かなあって……。思わず苦笑していると「な、なんで秋奈が此処に!!?」という声が聞こえた。声のしたほうを見ると、そこには女装をした潮江が。



「あー…、何も言うまい」
「ひでぇ奴だな!!」



化粧の場所がずれていたり、髪の毛が乱れていたりする潮江。隈もあって、ハッキリ女とは思えない。むしろ、男が女装したということが丸分かりだ。ふと、潮江の後ろから話し声が聞こえた。



「あ、秋奈ちゃん」
「秋奈ー!!」
「い、妹にこんな姿を見られてしまった……!!」
「……もそ」
「お前の妹ではないだろう、と長次が言った」



続々現れた六年生達の姿を見て、私は「わあーっ」と声を漏らす。七松は潮江と同じように残念な女装になっている。中在家と食満は……、ちょっと微妙だな。ただ、立花と善法寺は違った。全然違った。



「うわーうわーうわー!! 凄い!! 美人さんとかわい子ちゃんがいる!!」



切れ長な目とさらっさらな髪の毛をした女装姿の立花。本物の女の人のようで、とても美人だ。ちょっと猫っぽいく大きな目にふわふわした雰囲気の善法寺。こちらも本物の女の人のようで、とても可愛い。予想外でした。これは完璧に油断しました。興奮した私は立花と善法寺の手を取って、二人を並ばせる。二人を含め、その場に居る全員が不思議そうな顔をしている。だが、私はそんなこと気にせず、携帯を取り出す。



――パシャッ
「「「「!!?」」」」
「はい撮れました!! 二人の素晴らしい姿を収めました!!」



「御協力、ありがとうございます」と立花と善法寺の手を掴んで言う私。満足です。素晴らしいです。本当にありがとうございます。満足しながら撮った写真を見ていると、「それはブロマイドのようなものなのか?」と立花が聞いてきた。私はその言葉に「うん」と頷く。



「それにしても、二人とも本当女の子っぽいね。美味しい美味しい。にしても七松と潮江は酷いな。中在家と食満は、もうひと踏ん張り」



私がそう言うと、伝子さんが「正にその通り!」と頷いた。潮江と七松は全体的に、中在家は眉毛、食満はまつ毛のバッサバッサ感を直したほうが良さそうだ。



「――…秋奈ちゃんも男装してみる?」
「――……え……?」




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