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銃を所持する為に、しんベヱのパパに銃のポーチを4つとベルトを貰った。でも、どこに身に付けようか。とりあえず、腰にベルトを巻く。そして、左右腰にひとつずつ、ポーチを付ける。そして、そのそのポーチに銃を入れる。お、コレなかなか良いんじゃないだろうか。結構動きやすいし。この位置なら、いざとなった時に取りやすいだろうし。



「秋奈ちゃん、それだと武器が見えてるから敵に警戒されちゃうわよ?」
「え……? あ、シナ先生」



横から聞こえてきた声に驚くが、その声がシナ先生だと分かると、私は「どうしましょう?」と苦笑しながら聞く。私の言葉にニッコリ笑みを浮かべ、「ちょうど良かったわ。貴女に合いそうな羽織を見つけたから買ってきたの」と言われ、羽織を渡された。その羽織を受け取り、広げてみる。黒を主とした花の絵が描かれている羽織。



「こ、これ、本当に貰っちゃって良いんですか!?」
「ええ、貴女の為に買ったんだもの」
「お、恐れ多い……!! でも、ありがとうございます!!」
「どういたしまして。さ、着てみて?」
「はい!」



よいしょ、と羽織を着てみる。お、おお……。なんだか気品が漂う感じで、私がこの羽織を着ているのが申し訳ない。照れくさそうに着ている羽織を見ていると、「あら、似合うじゃない。買ってきて正解だったわ」と綺麗に微笑むシナ先生。その微笑みに見惚れてしまう。こんなに綺麗な羽織、シナ先生のほうが絶対似合うのに。シナ先生が満足げに「やっぱり私の目に狂いはなかったわね」と言った。



「あ、そういえば秋奈ちゃん、学園長先生が呼んでたわよ」
「え? 学園長先生が……?」
「ええ。学園長先生の庵に来てほしいらしいの」
「ほほう、なるほど」



「じゃ、行ってきますね」と言って立ち上がる私。シナ先生はそんな私を見て「行ってらっしゃい!」と綺麗に微笑んでくれた。




 ***





庵に向かうと、学園長先生と土井先生、六年が庭のほうを見てなにか話していた。なんだか深刻そうな顔をしている。……私なんかが割って入っちゃっていいのかな。ふと、土井先生の目が私を捕えた。「秋奈……?」と声をかけられる。それにより、皆の目線が私へと行く。



「おお、秋奈!! 待っておったぞ!!」
「えっと……、御用はなんでしょうか?」
「とりあえず、こっちに来なさい」



学園長先生に手招きをされる。私は指示通り、学園長先生の側に駆け寄る。



「あの者が”平成”という時代から来たそうなのじゃが、あの者を知っておるか?」



学園長先生が、庭のほうに目を向ける。私は学園長先生の言葉に驚きつつも、学園長先生と同じように庭に目を向ける。そこには、綺麗なお姉さんがいた。腰くらいまでの黒髪に、凸凹がはっきりしたグラマー。キリッとした涼やかな目に、艶っとした唇。凄く、綺麗な人。



「あら、貴女も平成から来たの?」



お姉さんに声をかけられ、驚きながらも「あ、はい」と答えた。その言葉に、お姉さんは「そう」と綺麗に微笑む。お姉さんの着ている服は平成時代の物。持っている鞄も、平成時代の物だ。



「な、泣くようぐいす……!」
「え……? へ、平安京」
「良い国作ろう……!」
「鎌倉幕府」



ま、間違いない。どこからどう見ても平成時代の人だ。学園長先生に顔を向け、「この人も私と同じです」と言う。学園長先生は私の言葉を聞き、顎に手をあてて「秋奈が言うなら間違いは無いだろうな」と呟いた。そして、私からお姉さんへと目線を変える。



「よし、この者も忍術学園に置く!!」



学園長先生の言葉に、その場に居るみんなが驚く。だが、学園長先生は笑っている。周りはなにやら反対意見を言っているが、学園長先生は聞き入れなかった。え、ちょ、待って。私はこの為に呼び出されたの……?



「貴女、名前は?」



ふいに女の人に声をかけられ、驚きながらも「土井先生の妹兼きり丸の姉、天道秋奈といいます……!」と言う。女の人は「土井先生の妹……?」と首を傾げる。もしこの人が忍たまのことに詳しいのだとしたら、土井先生に妹がいるなんて事実ない為、不審に思うだろう。私は慌てて「義理です。きり丸とも義理で」と付け加える。女の人は納得したのか、「そう」と頷いた。



「私は如月琴音(きさらぎ ことね)よ、よろしく」
「こ、こちらこそ!!」



琴音さんが綺麗に微笑む。シナ先生とは違った綺麗さに見惚れる。でも、なんだろう……。ちょっとだけ、雰囲気が怖い。その時、周りの皆が私を心配そうに見ていたなんて知らなかった。




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