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しんべヱのパパさんに武器を頼んでから五日経った。
今日は手伝える仕事は無いようだ。暇になってしまい、縁側に座る。携帯を取り出し、待ち受け画面を見る。



「……圏外……」



溜息をついて縁側の柱に体を預ける。この世界にきて、相変わらず携帯は圏外のままだ。元の世界に帰りたいわけではない。ただ、お兄ちゃんが心配なのだ。誰かと連絡を取って、私が生きていることを伝えないと……。とりあえず、携帯をしまう。やることもないので、瞼を閉じる。いっそのこと、このまま眠ってしまおうか……。



「秋奈ちゃん、久しぶりー!」



頭上から声が聞こえた。目を開けて、その人物の姿を見る。あ、しんべヱのパパ。驚きながらも「こ、こんにちは」と言うと、「こんにちは」と返ってきた。



「武器届いたから、しんべヱに会いにくるついでに持ってきちゃったっ」



「あはっ」と茶目っ気全開で言うしんべヱのパパ。私はその姿に苦笑する。「相変わらずですね」と言うと、「え? なにが?」ときょとんとされてしまった。私はそれに対して「秘密です」と答える。



「ここではなんですから、食堂に行きましょうか。そこでお菓子作りましょ!」
「え、秋奈ちゃんが作ってくれるの!?」
「はい。簡単なもので申し訳ないですが……」
「良いよ良いよ! 大歓迎だよ!」



目を輝かすしんべヱのパパ。私はそんな姿を見て、「じゃあ、着いてきてください」と言って、食堂に向かって足を運んだ。




 ***




食堂のおばちゃんに許可を得て、台所を使う。じゃがいもを10個貰った。そのじゃがいもの皮を剥き、薄く切っていく。隣にいるしんべヱのパパが、「じゃがいもからお菓子作れるの?」と興味深そうに作っている姿を見ている。私は、その子供のような姿に密かに笑いながら「はい、とても簡単に作れますよ」と返事をする。まったく、この時代の人達は面白い。薄く切ったじゃがいもをフライパンの上に乗せていき、パリパリになるまで焼く。



「……よし、と……」



パリパリになったところで、火を止める。そして、出来上がった料理を皿に乗せる。よし、完成!! 台所から出て「じゃーん!! ポテトチップス、略してポテチです!!」と言いながら机の上にポテチを置くと、「おおおおお!!!」と目を輝かせて涎を垂らすしんべヱのパパ。わぁー、その姿しんベヱにそっくり。椅子に座ると、しんべヱのパパが向かいに座った。


「お、美味しいー!!」



ポテチを一口食べ、そう言うしんベヱのパパ。私は嬉しくなりつつ「ありがとうございます」と笑顔で答えた。初めて作ったから、こんなに喜んでいただけるとは。作った甲斐があったというもの。しんベヱのパパは勢いよくポテチを食べて行く。ふと、その手が止まった。



「これ、頼まれてた武器ね」



そう言って、銃が入っているであろう風呂敷を私に渡すしんベヱのパパ。私は受け取って、風呂敷を開ける。そこには、二丁拳銃と弾がたくさんあった。思わず「おお、凄い!!」と声に出す。二丁拳銃を両手に持ってみると、なんだか妙にしっくりきた。お!! ロックできるし、解除もできるのか!! 後は、自分の腕次第だな。



「本当にありがとうございます!!」
「良いの良いの。しんベヱがお世話になってるし」



ふおおおおお。しんベヱのパパ太っ腹!! 優しい!! あ、この言葉前にも言って気がする。この銃、大切にしなきゃ。それからしばらく、銃を見てニヤニヤしていた。




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