30


「あ、これ良いですね」
「えー? 物騒じゃない?」
「物騒じゃないと、自分の身は守れませんからね」



現在、しんべヱのパパさんが営んでいる”福富屋”へと来た。
忍術学園にいる以上、何かしらの事件に巻き込まれるかもしれない。一人になったときに、自分の身を守れるようにしたい。そのことを土井先生に相談したら、「しんべヱのパパさんに武器を頼んだらどうだ?」と言われ、福富屋への地図を渡された。忍者の武器も刀も使えない私。だから、南蛮の手軽な武器を頼もうとしているのだ。



「あ、しんべヱは元気?」
「はい、毎日楽しそうに遊んでますよ」



南蛮武器のカタログを見ていると、しんべヱのパパさんが話しかけてきた。しんべヱのパパさんの問いに、私は笑って答える。私のことは、忍術学園で働いている、とだけ伝えた。



「あ、この拳銃をふたつ頼めますか?」
「おお。これなら女の子でも使えそうな武器だねー!」



私の注文をメモするしんべヱのパパ。私が頼んだ武器は拳銃を二つ。「以上でお願いします」と言うと、「はーい」という言葉と「あの件、よろしくね」という言葉が返ってきた。私は「はい、勿論です」と笑う。「あの件」とは、次来るときにお菓子を持ってくる、という約束だ。この約束で、代金はチャラにしてもらった。しんべヱのパパ太っ腹すぎる。優しい。



「武器が来たら文届けるね」
「はい、お願いします!」



その後、少し世間話をして私は福富屋を去った。




 ***




「ただいまー」と言いながら忍術学園の敷地内に入ると、私を見つけた秀作が笑顔で「おかえりなさいっ」と言ってくれた。秀作の笑顔に癒されつつ、私は手渡された入門票に名前を書く。平成と戦国の文字型の違いなんてもう気にしない。



「あ、秋奈姉!! 良いところに!!」



その時、きり丸が赤ちゃんを抱え、慌てた様子で私の元へと走ってきた。「どうしたの?」と聞くと、「今から授業だから、俺が戻るまでこの子の面倒見ててほしいんだ!!」と言われた。そして、「はい!!」と渡される赤ちゃん。私は慌てて赤ちゃんを受け取る。「名前は菊次郎、男の子だから!!」と、それだけを言い残してきり丸は走って行ってしまった。



「ど、どうしよう……」



赤ちゃんもとい菊次郎に視線を向ける。菊次郎は「あーあー」と言いつつ、私の髪の毛を引っ張っている。困惑していると、一緒にいる秀作が「僕も手伝おうか?」と申し出てくれた。そのことに「うん、お願い」と返事をする。




 ***




秀作と一緒に縁側に座る。私の腕の中にはきり丸から預かった菊次郎。



「わぁー! ほっぺプニプニー!」
「うー?」
「くっ……! 可愛い……!!」



赤ちゃんというのはこんなにも可愛いものなのか……!! 天使のような菊次郎に、私はデレッデレだ。秀作が「いないいない、ばーっ!」と、菊次郎と遊んでいる。あーもー、この二人本当に癒される……!!



「なんか、眠そうな顔してるね」
「お、本当だ」



ポンポン、とリズム良く優しく叩く。すると、菊次郎の瞼が閉じられていく。しばらくして、菊次郎の寝息が聞こえた。秀作と「寝ちゃったね」「そうだね」と、小声で会話する。まるで夫婦みたいで、少し照れた。今が授業中で良かった。もし周りに人がいたら誤解されてしまう。



(秋奈姉ありがとー!! by.きり丸)
(今度は時間帯ちゃんと考えなよ? by.秋奈)




×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -