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あの後、立花達と別れて土井先生の部屋へと来た。
土井先生の部屋に行くと、土井先生と同室の山田先生もいた。山田先生とは何故か話が合った。とても面白い人だと思う。今度、女装姿を見せてくれる、と約束してくれた。土井先生が青ざめていたことは言うまでもない。そして、今は土井先生の仕事の手伝いをしている。答案用紙を見て、一年は組の点数をつけていくだけの仕事。



「はは……、見事に0点が多いわ……」
「はは……、言わないでくれ……」



もはや失笑しかできなくなるほどに、0点ばかり。一年は組がこれほどまでに頭が悪いとは。あ、でも黒木庄左エ門は何故か良い点数を取っていた。なんでこの子一年は組なんだろう……。



「そういえば秋奈、お前の時代にもテストがあったんだろう?」
「うん。最低点数6点!!」
「胸を張って言うんじゃない!! ……で、科目は?」
「す、数学……」



私の言葉に、土井先生はため息をつく。山田先生は「ほう、頭良さそうに見えるのに」と言ってくれた。私は二人の様子に、碇ゲン○ウのポーズをとる。そして、悲しげな表情を浮かべる。



「――…フッ……、計算は、どうも苦手でね……」
「「かっこつけんでいい!!」」



いやん、ハモられちゃった。あ、また天井で音がした。




 ***




「よっしゃ終わったぁー!!」



10分後、私は一年は組のテストの採点を終えた。見事に0点が多かった。ただ、何故か黒木庄左エ門だけは良い点数を取っていた。みんな、黒木庄左エ門を見習おうか。全ての答案用紙を土井先生に渡す。と、「ありがとう」と笑顔で言ってくれた。土井先生愛してる……!!



「他になにかできることは?」
「んー…、結構終わったから、無いな。ゆっくりして良いぞ」
「招致した!」



土井先生の言葉に、私は笑顔で答えて部屋を出た。といっても、何しようかな。とりあえず歩きながら何をするか考える。でも、何も思いつかない。ふと、楽しそうな笑い声が聞こえた。そちらを見ると、きり丸、乱太郎、しんベヱの三人が変顔を作って遊んでいた。うへへ、三人とも可愛い。本当は抱きつきたいところだけど、監視の目もあるし我慢だ。



「…………秋奈姉……」
「え……?」



隣から声が聞こえた。驚いて固まってしまう私。隣にいる人物は、私に指をさしていた。そのことに困惑していると、その人物は「きり丸が、よく貴女のことを話している」と言った。あ、そうなの、ね……。ど、どどどどどうしよう。会話続かないし、向こうは無表情だし……!!



「と、とりあえず、名前を伺っても良いですか……?」
「……中在家、長次……」
「私は、」
「学園長先生が話していたから、知っている」
「あ、そうなんですか」



お、なんか会話が弾んできたかな。



「……敬語はいりませんし、呼び捨てで構いません……」
「あ、じゃあ、そうするね。中在家も同じように」
「……しかし、貴女は年上で……」
「いいのいいの、二歳差だし。立花と善法寺も了承してくれたからさ」



七松は最初から敬語なし&呼び捨てだったけどな!!アイツは論外だ、論外!! セクハラしてくるし!! 中在家は、「…………」と無言で考える素振りを見せる。だが、しばらくして渋々だが了承してくれた。



「あ、秋奈姉ぇー!!」
「中在家先輩もいるー!!」
「おーい!!」



その時、私達に気づいた三人が、私達に元気よく手を振ってきた。私は「やっほー!!」と手を振る。中在家は無言で軽く手を振っていた。あー、可愛い。抱きしめたい頭撫でたいお持ち帰りしたい。三人は、私達の反応を見ると満面の笑みを見せた。そして、「じゃ、サッカーやろうぜ!」と何処かへ行ってしまった。きり丸可愛いきり丸可愛いきり丸可愛い。どうして、うちの弟はあんなに可愛いんだろうか。ニヤニヤを抑えきれず、「ぐふふ」と笑う。ふと、中在家が遠のいて行くのが見えた。



「え、ちょ、引かないでよ……!」
「…………」
「その冷めた目は何……!!?」
「……きり丸が、お前のことを”変人”と言っていた理由が分かった……」
「あの子なに言ってんだ!!? つか分かったって、おま……!!」



中在家と仲良くなれたのは良かった。が、どうやら中在家の中の私は”変人”になってしまったようだ。……くそーう、きり丸め……!!




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