21


とりあえず、二人で食堂に行くことになった。どうやら立花は起きて朝食を食べていなかったらしく、ただ散歩をしていただけだったらしい。食堂のおばちゃんが作ってくれた料理を頬張っている最中に「お前についている監視、どうにかならないのか」と言われた。そんなことを言われても、私から声はかけづらいし……。それに、言ったら思いっきり殺気を向けられそうだし。「無理かな」と答えると、ため息をつかれた。私のせいじゃないのに。



「お、秋奈!! おはよう!!」



その時、七松が元気良く食堂に入ってきて、真っ先に私と立花の元に来た。口に入れた食べ物をゴクンと飲みこみ、「おはよ」と返事をすると、七松はニカッと笑みを浮かべる。



「おい小平太。私にはないのか」
「仙蔵もいたのか。おはよう!」
「……お前がいかに天道にしか眼中に無いのか、よぉーく分かった」



青筋を立てて怒る立花。それを見て「ふはは!! すまんな!!」と笑顔で言う七松。しかも立花の背中をバシバシと叩いている。アレ痛そう。つか反省してないだろ。少し呆れていると、七松が私を見て「そうだ、昨日はありがとう!!」と急にお礼を言ってきた。……私、何かしたっけ……。



「昨日の夜、風呂あがりに髪を拭いてくれただろう!伊作もいたがな!」
「ああ、そっか。昨日はあの後、きり丸の寝顔が可愛すぎてずっとニヤニヤs……、おい立花、冷めた目で見るなよ」
「気持ち悪い」
「はぁぁあ!!? お前にはきり丸の可愛さが分からんのか!!?」



力んでしまい、思わずガタッと立ち上がってしまう。立花は私の勢いに、少し驚いている。七松、笑顔で首を傾げている。天井の方でガタガタガタッと小さい音が複数聞こえた。気のせいにしておこう。目の前に座っている立花の「本当にきり丸が好きなんだな」という呟きが聞こえ、「土井先生も」と付け加えると、「あー、はいはい」と軽くあしらわれた。とりあえず、私は大人しく座る。七松は、知らない間に朝食を私の隣で食べていた。おま、いつの間に。



「秋奈、食べ終わったらバレーしないか?」



七松の言葉に、立花は瞬時に顔を青ざめさせる。そして、「死にたくなければやめておけ!!」と私に言ってきた。……運動、したくないな。



「楽しいぞぉー!」
「やめておけ!! お前の軟弱な体では死ぬ!!」
「うん、やめとく」
「何故だ!?」
「だるい」



私の言葉に、七松が「ブーブー!!」とブーイングする。ふははは、なんとでも言いやがれ。私はきり丸と土井先生と一緒にラブラブライフを送るのだよ。さーて、食べ終わった後はどうしようかな。特にやることは決めていない。本当は秀作の手伝いをしようと思っていたけれど、その秀作が出かけているのだから手伝えるはずもない。誰か急がしそうな人見つけて手伝おうかな。



「天道、お前は食べるのが遅いな。私達はとっくに食べ終わったぞ」
「ういー立花ういー」
「お前は私を馬鹿にしてるのか」



「ププッ! 馬鹿にしてませんけどー? プププー!」と言うと、立花に頭を叩かれてしまった。女の子には優しくしなきゃいけないんだ。



「秋奈、さっきから箸が進んでないな?」
「え、あ、うー…、朝はあまり食べれなくて……」
「なら私が食ってやる!! そうすれば、秋奈も無理しなくて済むし、私の腹も満たされて一石二鳥だ!!」



ニカッ、と太陽のように笑う七松。思わず「トゥンク……」と呟いてしまう。立花に「は? なんだソレは?」と痛い奴を見るかのような目で見られ、私は少し恥ずかしくなって「不覚にもときめいちゃったんだよ!」と投げやりに言う。立花が私の言葉を聞いて「ほう……」とニヤニヤしている。おい、変な意味じゃないからな。ときめいたけど好きになったわけじゃないんだぞ。七松は既に私の食べ残しを食べていて、私達の話に耳を傾けていない。



「やはり食堂のおばちゃんの料理は美味いな!!」
「うわぁー…、凄い勢いで料理が無くなっていく……」
「アイツの胃袋はなんでも吸収するな……」



七松を見るだけでもお腹いっぱいです。




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